積雪期はトラッキング猟がおもしろい
自分のやっている猟を便宜上「単独忍び猟」と呼ぶことが多いですが、実際には、その時折で「単独○○猟」の “○○” の部分は違うと思っています。いろいろ発信をする立場から、このような猟法の名称も気をつけて使わないとな〜と思ったりもしますが、それでも伝わりやすいので「単独忍び猟」と書いちゃうことが多いのは事実です。
とまぁ、いきなり余談ですが、今日のお話は「積雪期の単独トラッキング猟」とでも言いましょうか。とにかく痕跡を追っていくというスタイルです。忍び猟の一種だと思っています。
自分的にはシカ猟としては1番おもしろく、手応えもあり、大物猟の醍醐味を感じやすい猟法ではないか、と思っています。
猟の流れは3ステップ
トラッキング猟は大きく3ステップに分けられます。
まずは足跡探し。雪が積もっていれば足跡探しは簡単です。できれば機動力のあるスキーで広い範囲を探ることができるのでオススメですが、つぼ足でもスノーシューでも問題なし。あるいはスノーモービルで一気に探すってのもありかもしれないですね。ぼくはやったことがありませんが。
最初は闇雲に歩き回り足跡を探すことになりますが、猟場に慣れてくると「あの辺りを探せば見つかるだろうなァ」という当たりが付いてくると思います。
足跡なら何でもいいかと言えばそうでもないわけです。ひと言で言えば追いつきやすい足跡がいいですよね。ぼくなりの考えとして——
- 新しい方がいい
- 3〜5頭くらいの群れがいい
- できれば子どもなどの若くて無邪気な個体が混ざってるといい
- 単独シカはちょっと追いにくいと感じる(とくにオス単独は追いにくいイメージ)
- エサなどを食みながら歩いている痕跡はいい
こんなところでしょうか。あくまでぼくの経験値で、絶対的なものでもないし、根拠もあるようなないような……という感じです。
次のステップはトラッキング。ひたすら追いかけます。足跡を愚直に追うこともありますし、読みを効かせて先回りするなり、なんとか身を隠しながら追えるルートを工夫したりもします。
積雪期だと古い足跡は消えていくので、別ルートから回り込んでも、元の足跡を見つけやすいというメリットがあります。愚直に足跡を追うのが好きなんですが、身を隠すところもない広い雪原のど真ん中を足跡が通っていることもあり、そうなるとバレバレの追跡になってしまう恐れがあるので、できれば森などに身を隠しながら追いたいところです。
双眼鏡で遠くの足跡を見ながら大回りで追うこともあります。
最後のステップはアプローチ。足跡が新しくなってきたら獲物は近いわけです。「いついてもおかしくないぞ」となったら、足跡を追うことに固執せず、獲物を探すことを優先します。
よくあるのが「足跡が一直線に北に伸びているから北の方角ばかり見ていたら、東の森にシカがいた」なんて場面。要するに、シカもこちらの気配に気が付いていて、身を隠して、こちらを巻こうとしているのだと思います。
なので足跡が近くなってきたら、足跡に固執せず、広く観察することが大切かな、というのがぼくなりの考え。
また風向きなんかも気にします(気にするけど、いつも風向きを活かしたアプローチができるわけでもないのよね……)。
偶然に頼らない(気になれる)猟のおもしろさ
個人的には狩猟にはいつも運が絡んでくるものだと思っています。
それをすべて排除して「実力だけで獲る」というのは無理がある。自然の中での活動にはいつも観察力や経験値に運が混ざるものだと思うんです。運も自然の一部とでも言いましょうか。
ただ、この足跡を追うトラッキングは自分の感性や努力がわりと活きてくる猟だと思っています。運がゼロだとは思いません。でも、適当に山を歩いていて「いたら撃つ」というスタイルよりは、よっぽど成功も失敗も自分に転嫁できる気がします。なんというか、わかりやすい猟だと思うのです。
そして追っているときに考えることもたくさんあっておもしろい。
「この足跡はどういう意味だろう?」
「寄り道してる? あー、この木の樹皮を食べに来たのか。なんでこっちの木を食べて、あっちの木は食べないんだろう?」
なんて具合に。
ちょっとおこがましい言い方かもしれないけど、足跡を追って獲るのは、狩猟の醍醐味であり、狩猟の本質を感じやすいんじゃないかな、とさえ思うんです(まぁ、個人の感想です)。実は罠猟に憧れがあるのですが、ちょっとだけそれに近い匂いを感じるというのもあるかもしれません。
雪が降ったらトラッキング。
毎年それが楽しみだったりします。
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