大事なものは金じゃ手に入らないけど、金で手に入るものの方が語りやすいということ
これはブログをやっていていつも陥るジレンマであり、同時にわりと確信している事実だと思っているんです。
「大事なものは金じゃ手に入らないけど、金で手に入るものの方が語りやすいということ」
というお話です。
おもしろい部分って語れないことが多い
どんな活動にせよ——たとえばぼくで言えば狩猟とかアウトドアとか——、一番大切なものって、お金じゃ手に入らんのです。
たとえば実際に山を歩いて発見した「あ、ここにめっちゃシカが集まってるじゃん」ってスポットだとか、「あ、こんな風に足の置き方に気をつけると、ちょっと疲れにくいぞ」っていう微妙なニュアンスだとか、お金じゃ買えない経験や知識であり、1番大切で、1番おもしろい部分だったりするわけです。
たとえばぼくがシカ猟をしていて、「とある川が凍り始めると、全然違うあっちの平場にシカが集まる」という規則性を見つけたんです。これ、かなりおもしろいんですよ。でも語れないです。だって、その場所の地形図を抜きに書いても、芯の部分が伝わらないから。かといって場所バレするので、とてもじゃないけど地形図を公開する気にもなりません。
もちろん、場所を伏せたまま言葉で語ることはできます。だけど、おもしろくないんですよ。土地に依存しすぎていて、そのままじゃ参考にならないから。たとえば本とか、雑誌の長めの記事の1編として、織り込んで語ることはできても、ブログ記事で「ある川が凍ったら、あっちにシカが集まった」と書いても弱い。たぶん読まれない。仮に読まれても一過性のもので、長い期間で見ると忘れ去られるんです。だって検索に引っかからないから……。
ここでいう「語れない」というのは、つまり「多くの読者に届かない」ということです。
読まれる記事は金で解決できるもの
一方ね、「この3000円の○○社のクッカーは、軽くて便利で使いやすいよ」みたいな記事は読まれるんですよ。
商品名で検索に引っかかるから、長い期間で見ても、じわじわ読まれ続けます。だからYouTuberでもブロガーでも、商品レビューをたくさんやるわけです。読んでもらえるから。
すごく気持ちは分かるし、ぼくだってその傾向があるんです。文章を書く人間として、読んでもらえるというのは喜ばしいことだから。でもいつも心のどこかで「本当におもしろいのはそこじゃないんだけどな」と引っかかってたりもします。
アイヌ犬イチの一挙手一投足がおもしろい
最近のぼくのSNSを見ていれば分かると思いますが、イチ(アイヌ犬)のことばかりです。
それは犬にのめり込んでいるから、と言われりゃその通りなんですが、まさにここまで書いたような「1番おもしろいところ」が散りばめられているからなんです。
たとえばアウトドアの道具で「A社のものより、1万円高価なB社の方が50g軽いぞ」なんて感じで、道具の良し悪しを語るのは簡単です。
でも、犬ってそうはいかんのです。
たとえば「呼び戻し」と言って、「コイ」と言ってちゃんと来るようになるにも大変な練習が必要なんです。1万円高い犬を飼えば簡単に戻るようになるわけじゃないんですね。
日々日々練習して、家の中や庭の中で呼び戻しがうまくいくようになっても、いざ散歩中にコイって呼んでも、なんか草むらに顔を突っ込んだまま、全然戻ってこないわけですよ。犬にすれば、「それより、今はこっちの方がおもしろいわ」って感じでしょうね。
それも練習していると、段々戻るようになってくるわけです。
「あ! 前はこのシチュエーションで戻ってこなかったけど、とうとう戻ってくるようになったぞ」
なんて具合に。もちろん、それも偶然ではなくて、自分なりに工夫して練習して、積み重ねてきた成果なんです。そのプロセスと結果がおもしろいんです。1万円高くて50g軽い道具を買うことよりも、必死に練習してできるようになった呼び戻し1つの方が価値があるんです。
なんとか、そういう「ぼくが考える本当におもしろい部分」を語り続けたいな〜と思うし、ちょこちょこ挑戦するんですが、振り返って見ると、やっぱり読まれているのって「1万円高いけど、50g軽い道具のレビュー」みたいな記事だったりするんです。
読まれる記事に思いを織り込む
——ということは、別にここ最近に限らず、ブログを書いていてずーっと思っていることなんです。
で、自分なりの1つの結論として「読まれるタイプの記事に、思いを織り込む」というのが1つの施策だと思っています。
要するに「1万円高いけど、50g軽い道具のレビュー」をしつつ、その中で「自分が思うおもしろい部分」を織り込んでいく。
ホーボージュン氏など、こういうのがうまいですよね。
逆に言えば、読む人も、そこを気にして読んでもらうと道具のレビューもちょっとおもしろくなったりするんです。ひたすら数字やスペックを語るだけのレビューなのか、その人の実践が織り込まれたレビューなのか。
実践が織り込まれているとき、じつは道具のレビューの皮を被った、「1番おもしろいところ」の記事なのかもしれないです。
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