犬のしつけで大事さを実感する「系統的脱感作」ってやつについて

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系統的脱感作ってご存じですか?

これは人間の「恐怖症」の改善に使ったりする手法です。でも犬のしつけにもかなり使えるンです。

今日は自分が実感した系統的脱感作をつかったしつけの例をお話して、系統的脱感作の大切さを語ってみようと思います。

※犬のしつけはド素人です。ド素人が勉強して取り組んで実感したこと、として読んでください。ぜひ専門のトレーナーの方に相談してくださいね。

系統的脱感作とは?

たとえばクモ恐怖症の人に、クモを慣らすとします。いきなり目の前にクモを出したら恐怖で受け入れられないでしょう。

そこで「嫌だけど、耐えられる」というギリギリの状況を作ります。たとえば「10m離れたところにクモの絵を置いておく」みたいな感じです。恐怖症の人としては「嫌だな〜」と思うけど、ギリギリ耐えられる状況だとします。

その状況で、たとえば信頼できる友人と楽しい雑談をしたり、好きな漫画でも読んでみたりするんです。しばらくやっていると、段々と10m先のクモの絵が気にならなくなるわけです。そうしたら7m先に絵を近づけて、同じことを繰り返します。そのうち絵を目の前にもってきても耐えられるようになるわけです。それから今度は遠くにクモの実物を置いて、段々と慣らしていくわけですね。

要するに「耐えられるギリギリ」で身体を慣らして、段々とハードルを上げていくんです。最終的にはその対象を受け入れられるようになる、という理屈です。

 

犬のしつけでもかなり使える

この考え方は犬のしつけでもかなり使えるンです。うちの犬の例を挙げてみたいと思います。

 

じつはうちの犬(イチ)は「外でひとりになること」が超超超苦手でした。最初は室内で飼い始めました。頃合いを見て外飼いに移行するつもりだったんですが、いざ外に繋いでみたら、さぁ大変。もう信じられないくらいギャンギャン鳴くんです。ちょっとうるさいとか、そういう次元ではなく、この世の終わりのような悲痛な鳴き声です。

それも犬を外に繋いで、ぼくが立ち去るそぶりを見せた瞬間から鳴き始めます。その後、無視して外に出しておいたら、冗談抜きで何時間も鳴き続けるんです。

トレーナーの方に相談したところ、「それでも鳴かしておいて諦めさせるか、徐々に耐えられる時間を延ばして慣らすか、どちらかです。後者は時間掛かりますよ」とアドバイスをいただきました。うちは宿泊業を営んでいるもので、あんまり悲痛に叫ばれると困るという事情がありまして、時間をかけてでも後者を選んだわけです。

そこで系統的脱感作の考え方が活きてきます。ハードルを下げて、徐々に挙げていくわけですが、ぼくは以下のような感じで練習を続けました。

  1. 犬を繋いで、ぼくが横にいる状態で慣らす
  2. 犬を繋いで、そのリードがギリギリ届かないところで待機してその状態に慣らす
  3. リードが届かないところから、「1歩離れてすぐ戻る」ということを繰り返す
  4. 同様に「2歩離れて戻る」「3歩離れて戻る」という感じで離れる距離を伸ばしていく
  5. 1秒くらい姿を消して、また戻ることを繰り返す
  6. 3秒くらい姿を消してまた戻る。これを日々数秒ずつ伸ばしていく。

これで10秒くらい姿を消しても鳴かないようになるまでに2週間くらいかかりました。気が遠くなる練習でした。

その後は30秒……1分……3分……と伸ばしていくわけです。10分くらいまで耐えられるようになったとき、ぼくは感動しました。

その後は2時間……4時間と伸ばしていき、いまは16時間くらい耐えられます。最初の頃は「1歩離れる素振りを見せると悲痛に鳴く」という日を思うと、相当に成長を感じています。

 

とにかく系統的脱感作ですよ。

 

他にもいろんな場面で使える

系統的脱感作は本当に多くの場面で使えます。

たとえば「人を見ると吠える犬」ならば、かなり遠くに人がいる状態で鳴かずに耐えられるシチュエーションを作って、そこでおやつをあげたりして練習します。その後、距離を近づけて、おやつをあげて慣らす……さらに近づけて慣らす……という感じで距離を詰めていくわけです。

そのうち、目の前に人がいても気にならないようになる……という感じです。

 

他にもクレートに慣らすときも、徐々にハードルを上げていけば慣れていきます。

一気に慣らす手もあるんでしょうけど

クレートに慣らすときなど「四の五の言わずに入れておいて鳴いてもわめいても出さない」という方法もあるようです。どういう手法がいいのかは、プロの意見を聞きたいところですが、そういうときの選択肢の1つとして今回のような系統的脱感作を利用して、徐々に慣らすっていう手もあるわけです。

そのかわり飼い主の根気を求められます。

でも、一緒に練習していくのは楽しいですよ。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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