【アイヌ犬】理解してあげると同時にみるみるいい子になっていくイチ

最終更新日

イチくんを飼い始めた頃、かなり甘噛みに悩まされたし、なかなか思うように言うことを聞かなくて、妻なんかは「これはお父ちゃんにしか心を許さない犬になるかもね」と笑っていたほどでした。それくらい難しい犬だったんです。

甘噛みがひどいだけじゃなくて、日に何度か大興奮&パニック状態で大暴れしてみたり、散々吠えてみたり、ぼくが姿を消すと延々吠えてみたり……かなり困らされていましたよ。

そんな中で「詳しい人に頼ろう」と決めて、日本犬に長けたトレーナーさんに遠隔指導を依頼しました。それからというものの、本当にみるみる状況が改善して、今じゃ「いい子のイチくん」と周りの人も言ってくれたりするほど。妻も「本当にいい子になってるね」と笑い、もうすぐ4才の娘も「イチくんかわいい」と軽くイチにちょっかいを出したりして、なんかとっても楽しい犬との生活に早変わりしています。

そうなっていったきっかけというか、ポイントをちょっとお話してみよう、と思います。

いい子のイチ
いい子のイチ

犬を理解すること

いきなりですが、結論です。

1番大事なコトは、犬を矯正するとか、がっちりしつけることよりも、犬を理解してやることだな、と感じています。

たとえば甘噛みひとつとっても、噛む理由はいろいろあります。子どもが母親の乳房を求めるように甘えて噛むこともあるし、「遊ぼ遊ぼ」と気を引こうと噛むこともあるし、遊びの一環として噛むこともある。理由があるんだから、理由ごとに対処・対策も違う。

「しつけて甘噛みを減らすぞ!」というのも大事かもしれませんが、理由が分かり、いなしかたが分かってくると、犬を変えずとも、飼い主のストレスは大幅に減っていきました。遊びたいなら、おもちゃを噛ませてやればいいし、本当に甘えてハムハムしているだけなら「そのうちなくなる」と考え、適度に許してやればいい。元気があり過ぎて噛むなら、やっぱり運動量を増やしてやればいいし、ヒマしているなら、ヒマを潰すおもちゃ(知育玩具など)を与えるのもいい。

別に「噛むべからず!」と厳しいしつけをせずとも、自然と噛む機会が減っていき、最近は「噛んで困る」という感覚はあまりないです。

ぼく自身、トレーナーさんからあれこれ教えてもらい、自分でもたくさん本を読んで「噛みについて」を理解していくと、問題のある「噛み」と、あまり問題視する必要のない「噛み」があることがわかり、精神的に楽になりました。

 

犬を矯正することも大事なことなんでしょうけど、まずは犬を理解して、歩み寄る姿勢がとにかく大事だな、って。

 

理解することが大事な例→反抗期

もうひとつ、理解することが大事っぽい例を挙げてみると「犬の反抗期」が挙げられるかもしれません。イチはまだですが、犬も生後6ヶ月頃から、反抗期を迎えます。

反抗期になるとこれまでできたコマンドを無視してみたり、これまでしつけたことを逸脱して自分勝手に行動しようとしたりするらしいです。これにどう対処するかは別の話題として置いておきますが、そもそも “犬の反抗期” というものを知っているかどうかで犬との付き合い方が変わるだろうとは思うんです。

「なんだこいつ無視しやがって」

と思うわけですが、反抗期だと分かっていれば「お、反抗期が始まったぞ!」と心構えができるわけです。

これは人間の子育ても同じですよね。こういうことはちょっと勉強するだけでも分かることなので、やっぱり犬を飼うならちょっと勉強してみると楽になるな、って思います。

 

理解したら、ゆるやかに理想に寄せていく

たとえばイチは好きなお友だち(人間ね)がいると嬉しくて嬉しくて大興奮します。攻撃だとか、警戒ではなく、とにかく嬉しくて仕方がないんですね(誰にでも、ではなく好きな人にだけ興奮)。

キャッキャ、キャッキャと跳ね上がり冷静さを失います。

攻撃じゃないので犬に慣れている人なら、まぁかわいいと思うかもしれませんが、犬が苦手な人に同じことをしたら困るし、なにしろ興奮状態だとコマンドが通らなくなるので、やっぱり良いことではないわけです。

そこで、「好きなお友だち」に遠くにいてもらい、まだ興奮MAXにならない状態で慣らしてやり、静かにしていられたら褒めてご褒美をやる。さらに距離を詰めて、静かにしていられたら褒めてやる——さらに近付いて……なんて感じで徐々に難易度を上げつつ、飼い主として理想の挙動をしてくれたときに褒めてやるようにすると、段々と最初から飼い主の望んだ動きをするようになってくるわけです。

いま、妻の母が遊びに来てくれていますが、最初は大興奮で喜んで吠えていましたが、数日経ったいまは静かに尻尾を振って、穏やかに喜べるようになってきました。穏やかであるということは、基本的なコマンドも通る状態なので、ぼくとしてもニッコリです。

こうやって徐々に慣らしていく手法は系統的脱感作と名前がついているくらい定着した手法となっています(ぼくは専門家ではないので、用語の詳細はご自身で調べてください)。

 

いきなりスイッチを切り替えたように犬の挙動が変わるわけじゃないんですが、長い時間を経て、いつの間にか「あ、イチが理想通りに動くようになったな〜」と気付いたりします。

最近、妻とも話していて「そういや、イチがいい子になってきたよね」と急に実感したものです。

 

膝の上で寝られるように

じつはちょっと前まではぼくの膝の上で寝るなんてことはできませんでした。とーーーーにかく、ぼくに甘え、噛みたくなるんです。そして噛もうとしているうちに興奮しちゃって目が冴えて、最後には収拾がつかなくなります。

そこでいい子にしているときに褒めてやり(必要に応じてご褒美もあげて)、興奮したり噛もうとしたら褒めない、ということを繰り返しているうちに「いい子にしている時間」が増えていき、先日、ついに膝の上で寝られるようになりました。

アイヌ犬イチが膝で寝る
アイヌ犬イチが膝で寝る

ぼくとしては「かわいいから嬉しいな」ってのもありますが、「うれしさのあまり興奮してしまう」という状態を脱して、ちゃんとした意味でリラックスできるということが嬉しかったりします。

興奮しているときはコマンドも通らないんでね。

ちょっとしたことですが、これができたのも、甘噛みの意味や理由を理解し、必要ならおもちゃを噛ませてやったり、それでも手を噛むなら無視したり、いい子にしたら褒めてやったり——と犬の行動原理をなんとか理解し、ゆるやかに理想に寄せていく努力をした結果だと思っています。

「噛まれるの嫌だな」と噛まれるたびに怒っていたら、ぜったい改善しなかったと思います(イチは、ね)。

犬種によって、個体によって性格が違うでしょうから、方針や手法は人それぞれなのかもしれませんが、そのスタート地点はきっと「理解しようとすること」から始まるのだな、と感じました。

 

トレーナーさんの意義

ぼくは遠隔で(メールで)トレーニングをお願いしていますが、やっぱりその内容は「犬の行動原理の説明」と「それをどう的確に理想に誘導するか」という説明です。

ぼく自身、昔は実家で犬を飼っていたし、犬好きの端くれとして少しは犬のことを分かっていたつもりですが、とんでもない。全然分かってなかった。むしろ間違った理解をしていたり、理解の甘いことが多々ありました。

(トレーナーさんから教わったことを垂れ流すわけにはいかないので具体例はあまり挙げないでおきますが、本当に「え!?そうだったの!? でも言われてみればそうかも」と思うことがたくさんありました。

トレーナーを頼んで心底良かった、と思うのはイチへの理解が深まったことです。

 

イチよ! 何を考えているのだ!?

まるで何もかもイチのことが分かったかのような書き方に見えるかもしれませんが、分かったのは本当にちょっとだけ。今でも「お前は本当はどう考えているんだ」と思うことばかりです。

なんとかしてイチを理解したいと思う日々です。

 

ああ可愛い。可愛い。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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