単独猟とグループ猟のどちらが危険か論争と、本当に議論すべきこと
狩猟系のSNSアカウントを徘徊するようになってもうすぐ6年になります。
もっとずっと長い大先輩たちがたくさんいるのを知っているので、古参を気取る気はないですが、とはいえ6年という短くない期間を過ごしてきて、いろんな話題が盛り上がり、廃れていくのを見てきました。
狩猟自体は無限の深さを持っていると思っていますが、こと「狩猟系SNSの話題」は決して無限でもなくて、よくあるトピックが毎年ループしているのも確かです。一時期趣味でそういう「よくある話題」を集めてましたが、たとえばこんな感じです——
その中で、「単独猟って危ないよね」という話題がまたフワッと話題に挙がっていたので、改めて自分の考えを書いてみようかな、と思った次第です。
単独猟は危ない?
言うまでもなく危ないです。いろんなリスクを内包しています。
たとえば遭難のリスク。遭難とひと言で言ってもいろいろありますね。道迷い遭難もあれば、滑落や、低体温症、病気など。自力で下山できない状態を遭難と呼ぶならば、あらゆる可能性があります。
また狩猟をやる以上、銃による自爆的な誤射・暴発のリスクもありますし、誰かを撃ってしまうリスクもあります。
獲物からの反撃・攻撃を受けることもあるでしょう。
そして(これこそ単独行者の独特のリスクになりますが)、なにかあっても誰かに助けてもらえない、という大きなリスクをわ擦れてはいけません。
ふむ、なるほど。単独猟は危ないぞ、となるわけです。
グループ猟は安全?
さて、グループ猟はいかがでしょうか?
じつは、単独猟と同様のリスクはすべて内包しています。なにしろグループ猟とはいえ、ひとりで持ち場(タツ)に向かわなければならず、その道中で遭難するし、自爆的な誤射・暴発もあるし、獲物からの反撃などもあるでしょう(犬などで獲物を追い立てる都合上、この獲物からの反撃のリスクは単独より大きいかもしれません)。
しかし決定的に違うこと——そしてグループ猟は安全であるという意見の柱になっているのが「でも、仲間といるから助け合える/通報したりレスキューを呼ぶことができる」というものでしょう。
ここまで書くと、「やっぱりグループ猟の方が安全か?」となるんですが、ここで挙げておきたいのがグループだと起こりがちなメンタルの問題です。
ぼくはグループ猟は数える程度しか経験していませんが、少なくとグループ登山などの経験から言えることが2つあります。
1つ目は「下手すりゃ参加者の大半は他人頼りである」ということです。
全員が地図を持ち、それを読めて、多少のトラブルは自己解決できますか? 言われるがままにタツについたけど「ここはどこなんだろ?」なんてことありませんか?
もう1つは「悪い習慣が蔓延することがある」ということ。
あくまでフィクションとして書きますが、「ちょっと練習がてらあそこの切り株を撃ってみろ」とか「いつでも撃てるように常に弾を込めておけよ」とか「大丈夫だよ、この林道は誰も来ないから撃っていいんだ」とか、グループの大先輩が初心者に話してたりしませんか? よく聞きますよ。フィクションですが。
真面目で安全意識が高かったはずの人も、いつのまにかそこに染まり、「まぁ、みんなやってるし」なんて思うようになるわけです。
また、メンタルの問題以外に「安全の一部をどうしても他人任せにしなければならない」という側面もあります。
というのもある程度の狭い範囲で複数の人間が発砲するので、矢先の確認のミスが事故に繋がる可能性が高かったりします。もちろんルールを守っていれば大丈夫なんでしょうけど、メンバーのひとりに矢先の確認をしない人がいると、それによって撃たれるリスクがあります。
(これは単独猟でも言えます。同じ山に他の猟師が入っていることはあることなので、撃たれるリスクはあります。しかし、グループ猟に比べれば確率は低いだろうと想像します)
どっちが危険?
さて、ここまで書いて、単独とグループのどちらが危険か、ぼくには結論を下せません。
勘のいい人は、とっくにツッコんでると思うんですが、この議論、主語が大きすぎるんです。
たとえば単独猟の人でもグループ猟の猟隊でも、驚くほど安全意識の高い人もいれば、真逆の人もいます。
単独猟をやる場合にも、自分の力量をよく見て、山に深く入り過ぎないとか、歩きやすい場所だけ辿ってみるとか、やり方はいろいろあります。GPSや、衛星通信ガジェット、ココヘリなど、安全面をサポートしてくれるサービスも増えています。
巻狩でも安全意識の高い猟隊は、お互いのチェック、的確なルール、よい指導などで、事故を防ぐ努力をしているようです。
どちらが安全だろう? やっぱり人による、猟隊による、としか思えません。
議論すべきはどちらが危険かではなく……
正直に言うと、この話題にやや食傷気味になっています。そもそも狩猟をやらない人からすれば「どっちも危険だよ」で終わりですよ。
議論すべきは「どちらが危険か」ではなく、「どう取り組めばより安全か?」だと思います。
究極的に言えば、世の中の大半の行為は「危険」を孕んでいます。
スキーだって、転んで大けがをすることがあるでしょう。車だって事故はあります。散歩をしたって交通事故がある。「じゃ、家で寝てるのが1番安全」みたいな話になっちゃいます。
だからこそ「あ、こうすれば安全なんじゃない?」という知見こそ共有されて、議論されるべきだと思います。
GPSの使い方。アイウェアの意義。耳の保護。安全な猟装について、、、など。
ぼくはそっちのほうがおもしろいんだなぁ。
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