SOTOストームブレイカーを2年使ってきて変わった “好き” の形

最終更新日

SOTOのストームブレイカーを入手して2年が過ぎました。

当初から、今に至るまで気に入っていることに変わりはありませんが、始めの頃と今とでは少し違う考えに至った部分もあります。手放しで褒めるのではなく「まぁ、不満もあるけど、付き合っていくよ」という気持ちです。

そのあたりの「今の気持ち」をまとめておきます。

当初の気持ち

購入して数ヶ月後、こんな記事を書きました。

考えることさえ放棄させる無敵のガソリンストーブ、SOTOストームブレイカー

ざっくり短く書くなら——

火力も強く、風にも強く、低温にも強い、無敵のストーブだなぁ

という手応えでした。このこと自体は変わりないですが、今では「無敵感」は薄れて、リアルなこいつの素顔が見えてきました。「付き合い始めた恋人はひたすら可愛らしかったのに、同棲したら嫌な面も見えてきた」ッて感じです。

良いところも、気になる悪いところなど、ざっくばらんに挙げていきます。

 

火力が強く、低温でも確実に着火

ガソリンストーブなので当然と言えば当然です。

ポンピングが70回以上(氷点下10度くらいだと90回くらい)必要なので、手間と言えば手間ですが、それさえやれば付くと思えば悪くないです。

ちなみに何度か試してみましたが、気温7度の室内でストームブレイカーをテーブルに置いた状態から、ポンピングし、暖気し、火が安定して調理ができるようになるまで1分30〜40秒です。

 

五徳の安定感

分離型のストーブとして当然の安定感があります。

とくに雪の上だと熱でストーブ下の雪が溶けますが、直立式に比べて安心して使えますね。

 

耐風性能への疑問はある

着火後の耐風性能は確実にあります。火が安定すれば、風が吹いてもそうそう問題ない。

だけどね、この耐風性能に対して疑問を持っています。

それは——着火時は風に強くないということに起因します。

着火手順を書くと——ポンピング → 着火 → 赤火で暖気運転 → 通常モードに切り替え燃焼開始——となります。

この暖機運転の時、強い風に晒されているとなかなか終わりません。というか赤火が風に流されていつまでも暖まらないと思います。それじゃ困るのですが、じつは対策は簡単です。こいつを使うときは必ず雪があるので、雪を踏み固めて、周りより低い場所で使用します。新雪の上で使おうものならアッという間に沈んじゃいますからね。

そうすると自然と雪が風防になるんです。これで解決なんですが、ここで疑問が……。雪を風防にできるなら、そもそもそこまでの耐風性能が必要だろうか? ということ。

高山の稜線など、固く締まった雪で使わなければいけない人は別でしょうけれど、ぼくの行動圏だと風は強いが、雪は柔らかいので、簡単に風防が作れちゃうんです。耐風性能はそこそこで良いのではないか。それならMUKAストーブやMSRのドラゴンフライあたりでも問題ないのでは? と思ってしまいます。

※ストームブレイカーがダメという意味ではなく、選択肢が増えるということです。重さ、燃料、メンテのしやすさなど、耐風性能以外で選択できそう、ということ。

 

プレヒート不要? 本当?

ストームブレイカーはプレヒート不要であるのが強み、ということになっていますが、本当にそうでしょうか?

っていうか、プレヒートしてませんか?

ポンピングしてから暖機運転するんですが、この暖機運転はまさにプレヒートかと。

まぁ、手順が機械的に定まっているので古い設計のガソリンストーブに比べて、勘に頼らず、ミスなくつけられるという意味でストームブレイカーは優秀だと思っています。だからディスる気はないのですが、プレヒート不要ってのも違う気が。

寒くて風が強い日は、暖機運転に時間もかかるし、これはまさにプレヒートだぞっていつも思っています。

 

メンテナンス性はいいけど、あと1歩

先日、結構細かいところまで分解したんです。特別な技術なくここまで分解できます。ぼくができるのだから、だれでもできると言っても問題ないかと。

ストームブレイカーの分解

その中で1つだけ不満が残ったのはヘッド部分(上の写真の右下の燃焼部分のこと)。こいつだけは溶接されており、分解できないんです。でも、ここって調理時に吹きこぼれた汁なんかが入り込むんです。そうすると細かいゴミが入り込んで、焼き付いて汚れが固着しちゃいます。

本当はそれをブラシでキレイにしたかったんですが、どうやらそれはできない。ネットで調べたら「ヘッド部分だけ煮てやればいい」とあったので、それはやってみました。とりあえず今は問題ないですが、ここは分解させて欲しかったなァ。

 

消化時の挙動が良い味をだしている

ストームブレイカーは消化するときにダイヤルを「Air」にします。これにより、燃料タンク内の圧力をヘッド部分から逃がしてやるんです。

この作業が燃料からヘッドに至る部分の清掃にひと役を担っているんだろうと思っています。たとえば先述のヘッド内の細かいゴミみたいな物も、この行程でわりとキレイになりそう。つまり圧抜き=セルフクリーニング的な効果がありそうだな、と。

 

ガス、、使う?

ガスでもガソリンでも使える、というのが売りですが、個人的にはガスを使うなら他にいくらでも選択肢があると思います。

ストームブレイカーを使う人は(たぶん)初めてのアウトドア用ストーブじゃないと思うんです。すでにガスストーブくらいは持っている人が多いような。そんなことないかな? 少なくともぼくはガスはガスで持っているので、ストームブレイカーをガスストーブとして使うことはないです。これまで1度も——それこそ試運転もしたことないです。

ガスならもっと軽量なものがあります。まぁ、これはぼくの使い方の話なんで、人によりますね。

 

ストームブレイカーはいいけど、他の選択肢もいい

総じていうなら、ストームブレイカーは気に入っています。だけど、ほかの選択肢が吹き飛ぶほどの強みがあるかというと、それは用途によるかな、と。

安心感はかなりあります。耐風性能のところでも書きましたが、1度火がついてしまえば、無敵だと感じます。寒くて、1分でも早く作業を終えたい場面で、この安心感に救われるわけです。

でも似たようなポジションにあるMUKAストーブやMSRドラゴンフライシリーズなど、大いに検討していいと思います。どこに重きを置くかで変わってくるでしょうね。

ストームブレイカーに後悔があるってわけじゃないです。ストームブレイカーを持っている今、あえて買い替える必要もないし、買い替えたい気持ちもありません。むしろ愛着ありますもん。

 

付き合い始めたときの初々しいかわいらしさはなくなって、日常生活の中で見える欠点が見えてきたけれど、そんなところも含めて好き。そんな “好き” があってもいいじゃないか、と。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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