単独猟日記:2021年初猟はヒグマの糞から始まった……
2021年も猟期が始まった。
今年も去年に引き続き、ヒグマを探すのが第一目標。いきなり獲れるとは思っていないが、なにはともあれ「自分で見つけたい」というのが第一歩。シカは気が向いたときに獲るとして、1日目からヒグマに焦点を絞ることにした。
去年はどうにか足跡をいくつか見つけ、「わりとヒグマがいそうなエリア」を絞り込むことができたと思っている。その後、地形図を睨み続け、そのエリア周辺でヒグマがいそうな場所をいくつかピックアップしてきたので、そのうちの1ヶ所を歩いてみる、というのが今日のプランになる。
何はともあれ気持ちいい!
猟の中身はどうであれ、鉄砲を背負って山に行くのは、それ自体が気持ちいい。風が涼しく、穏やかな朝日がほんのりと暖かい。山を歩くには最適な日だ。
歩き始めると、「今年も始まったぞ」と気が引き締まるし、「この時間が無限に続けば良い」とさえ思うようになる。
朝日、川の音、鳥の声……。毎年、1日目は特別だ。
大コル
去年、ヒグマの痕跡をいくつか見た。そこは深い山の中の川の周辺だった。川に沿って長く歩く痕跡もあり、「やっぱり川沿いから探すのがいいな」と思うようになった。
小規模の山脈を挟んだ向こう側に、もう1つの川がある。そちらでも一度ヒグマの糞を見たことがあったが、それ以上の痕跡を見つけることができず、去年はあまり手をつけていなかった。
地形図を見ていたところ、その2本の川を分ける山脈には大きなコルがあるのに気が付いた。コルとは——
尾根上のピークとピークの間の標高が低くなった箇所。
昔から山をまたいだ反対側の集落等に抜ける径(みち)として使われることが多かった。
コル(こる) |ヤマレコ
山を越えるとき、地形的にはもっとも楽に越えられる場所になる(他の要因で難所に化けることも多々あるが)。
去年、ヒグマを探して歩いていたときは、この大きなコルの存在が目に入らなかった。たぶん視野が狭かった……。
しかし冷静に考えれば餌場・水場になり得る2つの川を行き来するなら、これ以上ない場所だ。川を行き来するだけではなく、単純にこの山脈を越えるなら最有力候補になりそうな地形なので、ヒグマを探すならまずはここから、と思っていた。
廃林道をひたすら歩く
そこに行くためにはもう車の通れない廃林道を歩き続けることになる。
歩くのには楽だが、意外とめんどくさいのが「裸銃」問題だ。公道上では銃を裸にして携行することはできない。廃林道ならどうかと言えばぼくには判断がつかないが、李下に冠を整さずの精神で絶対にぼくは銃をカバーから出さない。
でもヒグマは「ここは公道だから襲わないよ」と約束してくれるわけもない。廃林道となると、左右が張り出した藪も多く、ちょっと不安になったりもする。
——ということは想像していたので、熊スプレーは持参している。
狙っていたコルは大ヤブ地帯
何キロか歩いて、ようやく例の大コルに辿り着いた。そこまでもちょこちょこ廃林道を降りて山を歩いて探索していたので、すでに3時間ほどが経っていた。
ぼくが住む地域の特徴なのか、とにかく山全体の藪が濃い。
そしてこの大コルもひどい藪地帯だった。途中まで藪漕ぎして入ってみたが、視界ゼロな上、シンプルに「無理がある」という状態で断念。通るとしたら、どこかに隙があるはずだが、それを上手く見つけることはできなかった。
今後の課題になるが、ひとつ楽観的に捉えているのは雪の存在。少し雪が積もり始めると、いきなり道が開けることがある。まだ雪の季節は先になるので、そのときにまた攻めてみたい場所だ。
ところどころにヒグマの糞
大コルの探索は不発気味に終わったのだが、その周辺にヒグマの糞が複数あった。
ただしそのどれもが古い。なんとも判断しがたいが、少なくとも昨日今日ではない。直感的には1週間くらいたっているかな、と感じた。周囲に足跡も見つからない。最近、大雨があったので、多少の痕跡は流されてしまったのだろう。
食べているものはバシッと判断できなかったのだが、木の実の皮らしきものが多かった。とにかくヒグマはいる。それだけでも大きな支えになった。
通り道じゃなくて、餌場を探す
この日はこれでおしまい。合間にシカを見つけて、余裕で獲れるシチュエーションもあったが、それを獲るとヒグマ探しが滞るので見送った。
帰り道、車の中であれこれ反省していたが、そのなかで1番大きな反省は「通り道じゃなくて、餌場を探さないとだめだ」というもの。
久保俊治氏の書籍にも似たようなことが書いてあったと思う。まずはエサを見極めて、そこから辿る。
次回はヒグマのエサになりやすいコクワ・ヤマブドウ・ナラあたりが多い場所を探すことを優先してみようと思っている。獲物よりも樹木を見る狩猟になる予定だ。
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