短時間の山行を楽しむために
山で過ごす時間は長いほどオモシロい。日帰りよりも1泊……1泊より2泊……という具合に長いほどに深くなる。
でもいまは子どももいるし、家族を放り出して自分だけいつも山にこもっているわけにもいかなくなっている(それでも猟期になればかなり山に行かせてもらってる)。
だからといって山から離れてしまうのは惜しい。
ってなわけで、最近は意識して “短時間の山遊び” に取り組むようにしている。短いと1時間、長くてもせいぜい2〜3時間。こういう短い山行を楽しむために意識していることを挙げてみる。
短時間でも山はオモシロい
山は長時間の方がオモシロいと書いたけど、じつは短時間でもオモシロい。じつは掘り下げていくと「短時間の方がオモシロいかもしれない」なんて冒頭に書いたことをいきなり覆すようなことを言いたくなるほどオモシロい。
山は小説に似ている。
確かに長編小説はオモシロい。世界観にどっぷりと入り込み、連鎖する物語に身を委ねながらも終末に向けて昂ぶっていくあの感覚は本当にすばらしい。
でも短編小説もオモシロい。じつはぼくは短編小説が大好きだ。むしろ短編の方が好きである。
パッと、いきなりフラッシュバックするように小説の世界が映し出され、いきなりドラマが始める。主人公とともに右往左往し、その短い世界の終わりに向かって一気にエクスタシーを迎える。
山もそうだ。山の中で何泊もすると、山の世界にどっぷりと浸かり、自分の身体が山の一部になったかのような喜びを感じる。だけど、短い山行もいい。短ければいきなり本題に取りかかる。余計な前段も、回りくどい描写もいらない。バシッとやりたいことをやって、完遂し、撤収する。
短い山行で、手際よくすべてが進むと本当に気持ちが良いものだ。
短時間の山行を楽しむために自分が心掛けているコツ的なものを考えてみた。
1.何度も行く
時間が短い分、何回も山に行く(行ける)。
月に1回、終日山に行くよりも、毎週1回2時間くらいの山遊びをする方がオモシロいかもしれない。
2.楽しむテーマを絞る
時間が短いので、山の楽しみをすべて味わうのは難しい。
楽しむ要素を1つ〜2つに絞って、それ以外は徹底的に排除する。
ぼくの場合は「○○+ちょっとしたメシ」という感じでいつも2つの楽しむテーマを持っておく。だいたいはこの3つのどれかだ——
- 釣り+ちょっとしたメシ
- 山菜狩り+ちょっとしたメシ
- 里山探検+ちょっとしたメシ
釣りと山菜狩りは分かりやすいと思うけど、里山探検こそ、この中で1番オモシロい。
里山探検とは——近場の里山に入って探検する。それだけ。
地形図を見て、「よし、この谷を見にいこう」ってな具合に1つ目的地を決める。もちろん短時間だから、奥山などではなく、短時間で行ける短い距離だけ。そのルートを探索しながら、山菜を探してみたり、動物の痕跡を探してみたりする。
かなり楽しいのでオススメ。
3.深追いしない
短時間が大前提なので、深追いしない。目的地まで行けないならそれもよし。メシを食う時間がなくなったらそれもよし。そんなもん帰ってから食べればいい。
短時間って決めたら短時間で済ます。その代わりまた来ればいい。
4.短時間だからこそ伸びる技術もある
じつは「短時間で済ます」と決めているからこそ伸びる技術も少なくないと思う。
分かりやすいのはメシ。
短時間で、合理的に、手際よく調理する。たとえばぼくはソロストーブを使うことがある。
そうすると、ソロストーブでいかに短時間に火を熾すか? あるいは鎮火させるか(燃やしきるか?)が短時間山行では重要になる。何時間も焚火をやろうとしているわけではないから、サクッと火を熾してメシを作りたいわけだ。
季節にもよるけど、大きな倒木を見つけてきて、のこぎりで切って、バトニングして……なんてやってられない。時間がかかりすぎる。ぼくが行く山だと山ほど笹がある。そしてこの記事を書いている春先だと枯れている笹がかなりある。そういった笹の葉を揉めば着火剤になるし、枯れた茎は燃料になる。結構早く燃えてしまうけど、そこら辺に山のように落ちているのでガンガン投入すれば良いだけだ。
先日も山に行ってソロストーブで湯を沸かしたけど、笹の茎しか使ってない。だからナイフも使わない。火の当たるところにある笹の茎をガバッと持ってきて、手でポキポキと折って投入するだけ。5〜10分もやっていればいいので大変でもなんでもない。
こういうのって結構役立つ技術だと思う。燃料を持たない分軽量だし、火の準備も数分。長時間の山行でも活きると思う。
山が近いのは幸せだ
じつは大前提として、山が近いというのが重要だったりする。
なにしろ山まで2時間かかる所に住んでいたら、往復だけで4時間。現地で2時間過ごせば、それだけでほぼ1日遊びになる。ぼくは20分も行けば遊べる山がある。1時間以内の場所にいくらでも川も山もある。だからこそ短く遊びことができている。
こういう環境にいられることがとても幸せなことなんだろうな〜。
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