四つ足のヘッドショットについて考える
大物猟の世界におけるヘッドショット(あるいはネックショットも、以下同様)って物理的にも精神的にも意味を持ちます。
でも、じつはこのヘッドショットについてはいろいろ思うこともあり、結果的には最近はあまり狙いません。
今日はこのヘッドショットについて思うことを書いてみます。
別になにかの答えではありません。みなさんのご意見もぜひ教えてください。
ヘッドショットの意味
ヘッドショットを狙う意味はなんでしょうか?
まずは即倒させられることが大きなメリットでしょう。心臓周辺(以下、バイタルゾーンと呼びます)の場合は即倒することもあれば、100mくらい走られることもあります。それに対して頭に当たれば疑いなくその場で倒れます。
わたしも撃ったことがあります。その場で崩れ落ち、意識もなくなり、わずかな痙攣のあとで息絶えます。
一方でもう1つの意味もあります。
ステータスとしてのヘッドショットです。
バイタルゾーンに比べて、圧倒的に小さい脳を狙うわけです。遠い獲物を撃ち取ることがステータスになることが多いように、ヘッドショットも一種のステータスがあります。
「ヘッドショットで獲った」
と言えば「おーさすが」となるわけですね。
となれば「ヘッドショットを狙うっきゃない」となるわけです。
ヘッドショットの問題
ところがある日、こちらのツイートがリツイートされてきて、そのヘッドショットの正当性が揺らいだわけです。
アニマルウェルフェアに配慮したシカの狙撃点に関する資料。ヘッドショットは脳、ネックショットは背骨を破壊できなければ、シカに非致死的な重症を負わせて余計な苦痛を与える恐れがあるため、遠くから頭や首を撃つのは避けるべきだと明言している。https://t.co/I4PJwPqLj5
— 桔梗屋 (@r_kikyoya) September 30, 2017
内容はツイートにある通りですが、ぜひ元の資料の方もご覧ください。ヘッドショットの部分だけ引用すると——
Head shots Unless at close range, a small movement in the head of the deer is likely to result in a misplaced bullet which can cause serious and unnecessary suffering. Head shots, due to the small target of the brain, should only, if ever, be considered at close range, and then only as a second follow-up shot.
ザックリ翻訳すると——
距離が近いんでない限り、シカの頭の僅かな動きでもあれば着弾がズレて、不必要な痛みを与えてしまう。ヘッドショットは狙いが小さいので、もしも狙うのであれば、距離が近い状態の、しかも止め矢に限るべきでしょう。
要するに、ちょっとズレてあごを撃ってしまうようなことがあると、死に至らず、食べる事もできず、激しい痛みも伴ったなまま、餓死するまで生きるかもしれません。そういうことを懸念しています。
そして締めくくりとして、この資料ではバイタルゾーンを狙うべき、とされています。比較的狙いが大きく、死に至る確率が高い、ということです。
ちなみにこの資料の出典元は「Best Practice Guidance on the Management of Wild Deer in Scotland」というサイト。スコットランドの自然管理局的なものでしょうかね。
さて、これからのヘッドショット
わたしもヘッドショットを撃ったことがありますし、外したこともあります。幸いにして半矢にしたことはありません。
わたしはこの話を知ってから、ヘッドショットというものについて考えることが増えました。答えが出たという意味ではありません。
ただ、はっきり言えるのはステータス目的のヘッドショットはしないです。それは本当に意味がない。ヘッドショットに限らず、狩猟にステータスが絡むとろくなことがない。
一方、距離が十分に近く、シカがこちらに気が付いておらず、急な動きをしないと読めるとき……狙うかもしれません。でも、最近の自分の猟を振り返ると、ヘッド狙いにはかなり消極的で、実際はバイタルを狙っています。あまり悩むこともなくバイタル狙いです。
また鹿以外の場合もいろいろ違う気もしてます。
熊は頭を狙え、という話も聞きます。イノシシもバイタルだとあまりに走られるという意見もあるかもしれません。
→補足:熊について「頭蓋骨が弾丸を弾くことがあるため、狙うべきではない」というご意見がいくつか届いています。その通りだろうと思います。あくまでヘッドショットに対して、いろんな意見があるという旨を強調しているだけであり、熊をヘッドショットすることを推奨しているわけではございません。これについては、桔梗屋さんが補足のツイートをしてくれていますので、重ねてご紹介します。
「熊は頭を狙え、という話も聞きます」という記述について補足。クマの管理に関する北米の技術書にはたいてい「頭蓋骨が弾を弾く可能性が高いので、クマの頭を正面からは撃ってはいけない」と書いてある。私もこの見解を支持する。私が読んだ中でクマの狙点を最も詳しく紹介しているのがこちらの資料。 pic.twitter.com/VV6ejXt8Tk
— 桔梗屋 (@r_kikyoya) January 6, 2020
誤解させて申し訳ありません。
→補足終わり
今後ヘッドショットを狙わないとい断言する気はありませんが、消極的ではあります。言うまでもなく、わたしも考えは揺らぎます。考えている途中です。変わることもあるかもしれません。
——それがわたしのヘッドショット観です。
みなさんはどう考えてますか?
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