書評『ダブルオー・バック』1挺の銃にまつわる連作短編集
この作品はいい!最近読んだ中でダントツでおもしろかったですねー。いやー、いい。好みです!
好きな作品を前にすると「うまく書評を書こう」って気持ちがぶっ飛びますね。
「まあ、読んでみてよ」とだけ書いて終わりにしたい気持ちにさえなります。
『ダブルオー・バック』
この本は4作の連作短編になっています。
連作短編というのは、それぞれの作品がなんらかのつながりを持っている形式で、よくあるのは登場人物が同じというパターンでしょう。
その点、『ダブル・オーバック』は1挺の銃が軸になっています。同じモデルの銃、ではなく、同じ個体です。1つの銃を取り巻く4つの物語になっているんです。この設定だけで鉄砲持ちとしてはワクワクします。
実際、わたしの銃も漏れなく中古。やはり心のどこかで「前オーナーはどんな人だったんだろう?」なんて考えちゃうんですよ。
さて、作品で軸となる銃はウィンチェスターM12。スライドアクション、ポンプ、しゃくりなどと呼ばれるタイプの銃ですね。
クレーの選手から始まる
最初の物語クレーの選手です。全体を通して1番まともな人かもしれません。
独特なフォームで撃つのにしっかり当たる選手でしたが、急に当たらなくなる。鳥撃ちもやるが、それもうまくいかない。そんな男の苦悩の物語です。
最後にはこの銃は銃砲店に引き取られて、いわくつきの銃として次の持ち主の元へと旅立ちます。それが2作目の主人公となります。
そうやって、4作の物語を経て、最後に銃に待ち受ける運命とは?
ポンプのかっこよさ
ポンプ式の銃のかっこよさが伝わる作品ですねー。
たまに「かっこいいけど、実用性はない」という意見も聞きますが、使っている人は口を揃えて「すごく実用的」と言います。わたしの周りにも持ってる人が何人もいますが、誰一人として「実用的ではない」とは言いませんね。
自動銃と違って排莢不良が起きない(起きにくい?)し、シンプルな作りで頑強。猟の道具としてはこの上ない安心感なのかも知れません。
装填は名前の通りポンプを動かしてガチャコンと行います。うまい人はこれが滑らか。下手すりゃ自動銃より速いんじゃ?と思うくらいの人もいます。言い換えれば、ちゃんと使い込んで装填の動作に慣れておかないと「かっこいいだけで実用的じゃない銃」になってしまうのかもしれません。
わたしはボルト式大好き人間なので、これまでポンプ式はあまり注目してきませんでしたが、今後は気になっちゃいますね。
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