「猟友会に入るべきか?」問題について考えてみる

最終更新日

「猟友会ってめんどくさい」という印象を持っている人も多いと思います。そういう人間関係の煩わしさが嫌で、できることなら猟友会に入らずに猟をやりたいと願う人も少なくありません。

じつはこれ、入るべき・入るべきではない、と断定できるものじゃないんです。だからわたしなりに考える材料を提示してみたいと思います。

最後はご自身で決めましょう。

※初年度を迎える初心者向けに書いています。

猟友会っていう組織に入るわけではない!

まず大きな注意点として、多少の例外はあれど、基本的にハンターが入会するのは “支部” です。支部の上に県猟があり、そのうえに大日本猟友会があります。適当に例を挙げると——

大日本猟友会——神奈川県猟友会——横須賀支部

参考:神奈川県猟友会

ってな具合です。手続き上は支部と県猟に会費を納めたりしますが、実際には支部としか関わり合いがありません。

で、支部ごとに考え方やルールがまーーーーーったく違うので、たとえば同じ県の別の支部の人と会うと「え? おれの支部はこうやってるけど、そっちは違うの?」なんてことは日常茶飯事。

手続きも、猟法も、マナーの考え方も、射撃会の頻度も、飲み会の頻度も……、とにかく同じ組織とは思えないくらいに支部ごとに違います。

わたしもハンター仲間や先輩などの話を聞いていて「えーーそこの支部に入りたい!」と思うこともあれば、「その支部ひどいね……」と思うこともしばしば。

入会のルールも違うことがあり、「そこに住んでないとダメ」「駆除に参加しないとダメ」「よその地域の人は全体の○○%まで」「来るもの拒まず」など、いろいろなんです。

みんなの仲がすごくいい支部もあれば、会員同士が顔を合わせることもない支部もあります。前者がいいかと言えば、そうとも言えなくて、定期的にある集まりごとに参加しないと、煙たがられたり陰口を言われるなんてことも……。銃砲店が窓口の支部だと、後者の傾向があるのかな?

とにかく何が言いたいかと言えば、猟友会が「良い」とか「悪い」っていう議論自体ムダってこと。支部によって違いすぎます。

ある人は「猟友会なんて入っても、ルールを守らない爺さんたちが幅をきかせてて最悪。入らない方がいいよ!」と言い、またある人は「猟友会に入ったら、初心者の自分を猟に連れ出してくれて、猟のマナーから獲物の見つけ方まで教えてくれたんだ。ぜったい初心者は入った方がいいよ!」と言うわけです。

どっちも事実なんだろうと思います。

 

そもそも猟友会に入る目的

猟友会に入るのはいくつかの動機が考えられます。

1.手続きの代行

猟をやるためには毎年あれこれの手続きがあります。それを猟友会が代行してくれることになっています。

自分でやろうとすると平日に役所に行かねばならず、平日に休めない人にはありがたいサービスです。

2.ハンター保険に入る

ハンター保険は団体でしか入会できないため、とにかく何かの団体に所属しなければなりません。猟友会に入れば、自動的にハンター保険に入れるため便利です。

3.有害鳥獣駆除への参加

駆除に参加することで、狩猟税や講習が免除されますし、年中猟ができるし、駆除により補助金がもらえることもあります。

(この補助金の分配方法も支部によって違うみたい)

一部例外はありますが、基本的には猟友会に入らないと駆除はできないと思っていいと思います。

4.ハンターとの交流

これは支部によりますが、交流が盛んな支部ならば、いろんなハンターと知り合ったり、一緒に猟をやるチャンスがあります。でも支部によっては交流がないこともあります。

で、猟友会に入らないといけないのか?

そんなことはありません。

手続きは自分でやれますし、ハンター保険も猟友会以外の選択肢があります。駆除は難しいかな。うまくやれば、猟友会を通さずに駆除をやることもできるそうですが、初心者には難しいかも。

ハンターとの交流は、実際のところ猟友会に頼る必要はありませんね。いまどきSNSを通じて知り合うこともできます。

たとえば自営業などで、平日の手続きが苦でないならば、入らないという選択肢は大いにあります。

わたしの意見

1番いいのは信頼できる人に勧めてもらった支部という前提で、猟友会に入ることだと思っています。行きつけの銃砲店や射撃場で聞いてみるといいですよ。かなりの情報が集まってますからね。

「あそこの支部はいいよ〜」とか「あそこはやめておきな(とはハッキリ言わないだろうけど)」とか、何でも知っています。

入らないという選択肢は当然あるんですが、初めての猟期だといろいろ忙しかったり勝手が分からなかったりもします。また、ある程度地域のハンターと知り合っておくことも損ではないかなとは思います。とにかく自分に合う支部ならば、メリットが大きいです。

さらに言えば、巻狩に参加したいなら、やっぱり猟友会を通して猟隊を紹介してもらうのが一般的かな。いくらでも猟友会の外にも猟隊はありますが、初年度だとそういう情報も知らないでしょうし。

でも、なんというか、心のどこかで「もし自分に合わない支部なら抜けるのもやむなし」という気持ちを持っておいた方が心の余裕ができる気がします。

安全意識が低く、一緒にやるのが不安になるような支部に入ってしまったとき、「そこが全て」と思うと辛くなります。そういうときは猟友会に入らないという選択肢もあることを思いだしましょう。あるいは別の支部に移籍するという選択肢も。

行動力があり、手続きを自分でやるのもいとわないという人は最初から猟友会に入らないという選択肢もあります。

猟について学ぶにしても猟友会に入るのが唯一の学びの場ではありません。猟友会とは関係なく集まって猟をやっている人たちもいます。そういう人たちに教えを乞いながらやるのもひとつでしょう。いまはそういう狩猟体験や猟の基礎を教えるスクール的なイベントもあります。

独学でやることも悪いことではないわけです。ただし、自分で考えて、誰にも頼らずにやるにはある程度の意思と自制心と努力が必要です。

っていうか、猟友会に入っても猟について教えてくれるとは限りません。支部によっては顔を合わせることもないわけですから。ただの手続き代行組織として運営されている支部もあります。だから、「初心者は猟友会に入って基礎を教わるべき」という意見は正しくないと思っています。猟友会に入っても何も教わらない場合も多々ありますし、むしろ悪いことを教えてくることもあるとか。

あくまで「良い支部に入って、いろいろ教わるのが正解」だと思っています。

良い支部は本当に良い

最近、縁あって、よその支部の方々と交流する機会が何度かあり、つくづく「良い支部は良い!」ということを目の当たりにしましたね。

「支部の鏡のようだ!」とさえ思ったこともあります。

向上心があり、先輩が後輩を支え、安全と楽しさを第一にし、駆除を通じ地域貢献も真面目。でも、それを押しつけることもなく、支え合って駆除と狩猟を続けておられる支部があり、すげーなーと。そこの支部長さんと個人的に交流させて頂いていますが、支部の運営にポリシーを持っているし、テキトーじゃないんですよ。本当によく考えています。

一方、わたしには合わないなぁと思う支部もあります。

見極めてください。

幸運を祈ります。

 

 


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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