狩猟が引き起こす家族トラブルいろいろ

狩猟が持つ魔力なのか、あまりの魅力があるからなのか、じつは家族トラブルを引き起こすことも多いんです。

幸いにして、うちは大きなトラブルはありませんが、それでも小さなトラブルの種はありますし、人からトラブルの話を聞く機会も少なくありません。

これから始める人はぜひ知っておいて、うまく立ち振る舞いましょうね。

ざっくり3つのカテゴリに分けて、書いていきます。

家族の不満
家族の不満

《死生観編》

雪のエゾシカ
雪のエゾシカ

「そもそも動物を殺すなんてありえない!」

狩猟は、どうしても動物を殺すという行為になるため、そもそもそれ自体に反対するという人は一定数います。

それがまったくの他人なら「人は人、私は私」と割り切れば良いでしょう。でも、それがパートナーなら大変です。

「自分の夫が、妻が、動物を殺すだなんて!!!!怒」

という感情を抱く人も多いようです。こればかりは理解を得る以外に対策はないんじゃないかな。

 

「それを台所に持ち込まないで!」

獲物を獲って、現地で大バラシしたシカの後ろ足をドカッと台所に持って行って、精肉しようと思ったら「それを台所に持ち込まないで!」と怒られたケースもあるようです。

ハンターの中でも「どこまでが死体で、どこからが肉か」という会話があるくらい、微妙な線引きですが、たぶん多くのハンターは「皮を剥いだら肉」という認識なんだと思います。

一方で、非ハンターの中には「ブロックに分かれていれば肉」くらいの認識の人も多いようです。つまり関節や足の形がハッキリ分かる状態は、肉と言うよりも「死体の一部」という意識があるようで、それを台所(あるいは家の中)に持ち込まないでほしいと思うのでしょう。

死生観もさることながら、衛生観念も関連した不満かもしれません。

 

「鉄砲だなんて物騒なものを持たないで!」

《死生観》と言って良いのか微妙ですが、「そもそも鉄砲を持つなんてダメ!」という感覚を持っている人も多いです。

狩猟者的には鉄砲は道具で、調理に包丁を使うのと同じ次元の話なんですが、やっぱり鉄砲に嫌悪感を抱く人もいます。戦争に使う道具。人殺しに使う道具。そういうイメージを持ってしまっているのだと思います。

 

《金銭感覚編》

Garmin InReach Mini
Garmin InReach Mini

「それにそんなに金がかかるの?」

狩猟ってどうしてもお金がかかります。他の趣味と比べてたくさんかかるという意味ではありません。だいたい、大人がやる趣味って、ある程度のお金はかかるものです。車、バイク、ゴルフ、自転車……。登山だって、キャンプだって、結構お金を掛けてますよね、みんな。

狩猟ってみんなが知らない世界だから、何にいくらかかるかが分かりづらく、他人から見ると「それいるの?」「そんなにかかるの?」と思われることも多いようです。

そもそも狩猟税なんて、家計的には、ただ消えるお金ですからね。弾も値上がりしまくっていて、北海道で使う銅弾なんて1発でラーメン1杯分くらいになっています。

解決のためには……稼ぐのだ! ハンターよ!

 

「また鉄砲買うの?」

鉄砲なんて全部同じ。そう思われてるんですよ、世間では。料理をしない人が、包丁の種類と用途を知らないのと同じです。

「三徳包丁があれば、ぜんぶ料理できる」と言うのと同じで、「鉄砲なんて1梃あれば、全部できるでしょ?」と思われちゃってます。

「大物猟をやり込みたいから、ハーフライフルを買おうと思って」
「もう鉄砲持ってるでしょ!」

となるわけです。嗚呼、神よ。

 

《時間の使い方編》

ジムニー JB64
ジムニー JB64

「冬になると、毎週末、お父さんがいない」

狩猟って、時間をかなり費やします。慣れてきて、かつ住環境が適していれば、短時間で楽しむ方法もありますが、都会に住んでいると「いざ出猟すれば1日がかり」というのはよくあること。

しかも猟期は冬だけです。本州なら3ヶ月程度。毎週末に1度ずつ出猟しても、せいぜい12回しか行けません。

大変な思いをして準備をして、面倒な手続きを毎年やって、狩猟税も払い、たったの12回しかいけないんです。しかも正月に里帰りしたり、冬休みに家族旅行したり、なんてやっていたら、10回、9回くらいしか行けないかもしれません。

だからハンターの立場からすれば「隙あらば出猟!」という気持ちになるんです。

でも、それだと「冬になると、家にいないよね」となるわけです。

「少しは家族と過ごす時間をとってよ」

と言われて、困ってしまうハンターさんは多いです。

 

「猟期でもないのに、お父さんがいない」

猟期に獲物を獲るためには、猟期前の準備が大切です。山に通い、獲物を探す練習をしておこうね。

——と、ぼくも繰り返し繰り返しブログで言い続けています。今でもそう思っています。

でもね、そうすると、非猟期の週末も山に行かないといけないわけですよ。すると「お父さん、いつも週末になるといなくなる」と家族から不満が出てくるのは当然です。

 

身に覚え有りますか?

ハンター諸氏は反省してくださいね。

全部あなたが悪い!

 

でもね〜。狩猟にハマっちゃうと、自分の常識が世界の常識に思えてくるし(死生観)、必要なものもアレコレ出てくるし(金銭感覚)、時間はいくらあっても足りないし(時間の使い方)、仕方ないんですよ〜。

だからご家族の方につきましては、ご不満もあろうかと思いますが、一歩、いや半歩でいいので譲っていただけますと、これ幸いでございます。

 


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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