単独猟日記4:時間がなくても、疲れていても、やれるのが単独猟のいいところ?

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本当なら毎日出猟したいくらいだが、生活もあるのでそうもいかない。それでも数時間の空き時間ができたので、近所の猟場に行ってみることにした。

ある日の午後

ある日の午後、時間ができた。というか、午前中に一生懸命やることをやってしまい、午後の時間を作ったと言った方が正しい。もちろん猟に出たかったからだ。

わたしが通っている猟場は、決して家の近所ではない。山の中に住んでいるわたしだが、周囲は禁猟区で、猟ができる場所までは少し距離がある。田舎なのに猟場が遠いという不思議な場所だ。

だが、実はそれほど遠くない場所に禁猟区ではないエリアがある。わたしが底に通っていない理由は1つ。少し猟場が狭いからだ。

禁猟区ではないが、南北に一般道が走っていて、入山ポイントも1ヶ所くらいしかない。もし他の人が入っていれば、別のハンターが入る余地はないと思う。安全性という意味では南北の道路との間にしっかり山もあり、あえて道路に近付くようなことをしなければ問題はないが、「奥山に行きたい」という気持ちの強いわたしとしては、やはり「狭い」と感じる。

「でも今日みたいな日には丁度いいな、連日の出猟で疲れてもいるし、今日は軽く行こう」

と、この日の午後、散歩がてら行ってみることにした。もちろん鉄砲は持って。

 

誰もいない。足跡もない

地図を見て感じることと、実際にその場所にいって感じることというのはまったく違う。地図上では近そうに見える2点も、間には山があり、とても越えられない壁に見えたりする。

この猟場がまさにそうだ。たしかに広くはなく、丸1日歩きたいと思ったら、そうとうゆっくり歩くか、あるいはどこかで待ち伏せ猟をやるなどして、時間を使わないと、1日経たずに車に帰り着いてしまう。しかし、南北に走る道路は山を2つも超えないと辿り着かないし、禁猟区との境目も遠く、明確な境界線があるので、誤って越えてしまう心配もない。面積こそ広くはないが、居心地の良い猟場だった。

何より嬉しいのは、歩いていて人の足跡を1つも見なかったこと。狭い場所だから、もし人が入れば簡単に足跡が見つかるだろうと思う。それがないということはおそらく猟期に入ってから誰も来ていないのだろう。ありがたい、秘密の猟場だ。

 

鳴かないシカ

歩き始めて30分ほどで、動物の気配がした。

かなり新しい足跡。そして尾根の向こうから聞こえる枯葉を踏むような音。この音は鳥の可能性もある。その判別が意外と難しい。

ジッと立ち止まり、しばらくその音を聞いていた。近寄ってくるでも、逃げていくでもない。ただ同じ場所に留まってカサカサと音をたてている。

「行くか」

と意を決して、尾根の向こうに顔を出すことにする。弾を装填し、安全装置をかける。緊張する瞬間だ。銃口を斜め下に向け、最大限に足音を抑えながら、時間をかけて尾根の向こうに顔を出すと、まさに同時に獣がさらに向こうの尾根を越えて逃げていった。飛んだときの後ろ足だけが見えた。そして、バサッバサッバサッと跳ねながら逃げていく。シカだ。

撃つチャンスもなかった。念のため、逃げ遅れたシカがいない辺りを見渡すが、それもいない。止めていた息を吐き出して、脱包をする。シカが鳴くのを待つ。どこまで逃げたのだろう?

鳴かない。一向に鳴く気配がない。こうやって人の気配を察して慌てて逃げるシカは大抵「ピー」と甲高い声で鳴くのだが、それをしない。

シカが逃げた方角に歩いていくと、またカサカサと枯葉を踏む音。また弾を装填し顔を出す。また逃げる。そして鳴かない。

実に3回もこれを繰り返した。どう考えてもわたしの存在を完全に把握していて、姿だけは見せないような距離を保って逃げていく。しかし鳴かない。

不思議な経験だった。

 

雨、慌てない心

そうやって鹿を追っているうちに雨が降り始めた。思い付きで出猟したため、天気予報も見ていなかった。

雨具は持っている。が、まだ本降りではないので、広葉樹の下で雨宿りをした。鉄砲が少し濡れているが、まったく気にならない。

なにしろ、わたしが鉄砲を手にして始めて射撃場に行った日が雨だった。それも大雨。スキートに挑戦したのだが、初心者に1番優しい1番射台と7番射台に屋根がなく、びしょ濡れになりながら撃った。鉄砲は中までびしょびしょだったが、ちゃんとメンテナンスして、錆びることもなかった。あの経験のおかげで、鉄砲を濡らすことに躊躇はなくなった。

 

しかし、いかんせん冷える。

単独猟ではゆっくりとはいえ歩いている時間が長いので、季節の割に薄着で歩いている。そのため、長く立ち止まると冷えて冷えて仕方がない。

これは冗談抜きで今後の課題だと思っている。雨ではなくても、獣の気配が濃い場所で長く待ち伏せてみようと思ったとき、あまりに寒くて嫌気が差すのだ。かといって厚着もしたくない。なにか良い方法がないだろうか……。

 

今日の猟データ

遭遇:シカ1頭
発砲:0
猟果:0
歩行距離:2km
行動時間:4時間
平均速度:0.5km/h

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