単独猟日記5:山にいるのは自分だけじゃないんだな、ということを感じる日
単独猟5日目。獲物は獲れませんでしたね。それだけじゃなくて、山にいるのは自分だけじゃないんだな、ということを再確認した1日となりました。
開始1時間でチェーンソーの音
いつも林道から西へ西へと歩いていきます。忍び足で歩いて1時間ほどして、向かう方角からチェーンソーの音が聞こえてきました。
言うまでもなく、林業従事者の方です。とうとう来たな、という感じです。
山にいるのは自分だけじゃありません。幸い、わたしが行く山域に登山道はなく、一般の登山者が入ることはありません。また山菜・キノコで入る人も見たこともありませんし、むしろ「この辺じゃ採れない」というお話を聞いたことがあるほど。
まぁ、登山・山菜・キノコ関係の人が「絶対いない」と過信するのは禁物。そういう思い込みが誤射などの事故に繋がるのでしょう。ともかく、そういう人が来ないエリアを猟場として選んできたつもりです。
林業従事者の方が山に入るのは当然のこと。わたしが行く山域でも木を切り倒した跡などはあるので、来ることもあるんだな、とは思っていましたが、偶然にも遭遇したことは(下見も含めて)ありませんでした。ところが、今日はいる……。
「あんまり近づくもんじゃないな」
チェーンソーの音が聞こえるからと言って、すごく近くにいるわけではありません。音を聞いた感じだとひと尾根もふた尾根も向こうのこと。とはいえ、近くで発砲すれば驚かすことにもなるし、事故の種にもなりかねません。
「どれくらい離れればいいんだろう?」
ちょっと迷ってしまいました。法律的に何メートル離れろ、と明示されているわけではありません。
考えた末の結論は「自分が安心できるくらいは離れよう」というもの。誰にでも胸を張って「十分に距離を取った」と言えるくらいは離れたいと思いました。
というわけで、1度車に戻り、少し距離を離すことに。
ハンターさん「何獲るの?」
で、1度車に戻り、ちょっと走らせて林道従事者の方から離れた場所に移動しました。で、改めて出猟の準備をしていると車が通りがかり、わたしの横に止まります。
スーッと窓が開きました。中には猟友会帽子を被ったおじさん。
おじさん「何獲るの?」
わたし 「シカです」
おじさん「犬は?」
わたし 「いません。1人です」
おじさん「ふ〜ん。この先の××あたりで犬入れるから」
わたし 「そうですか。じゃぁ、わたしは△△あたりに入れば迷惑かけませんかね?」
おじさん「あー(OKの意)。どこの人?」
わたし 「○○(この猟場から遠くない地元)です」
おじさん「鈴木さんのとこ?(私がお世話になってる猟隊の親方の名前。仮名です)」
わたし 「そうです。お世話になってます」
——とここまで話すと、おじさんは黙って車を走らせて去っていきました。
正直ね〜、ちょっと感じ悪くてイラッとしたのは事実です。こちらのことはあれこれ聞くのに、自分のことはひと言もなし。表情や口調が相手をバカにした感じでね。ーーまぁ、いいんですけど。
ともかく、犬を入れている場所を聞けたのは大きな収穫でした。わたしがいつも入る場所からは十分遠いし、わたし的にはうまく住み分けできているようです。
なんだか落ち着かない
はるか遠くからはチェーンソーの音。一方、いくつか尾根を越えた向こうには犬を放った巻狩のグループ。
「山にいるのは自分だけじゃないんだな」
そう痛感させられました。正直なことを言えば「落ち着かない」という気分です。
この日の猟はあまり芳しくもなく(いや、これまでも、今日も、ずーっとボウズなんですけど)、遠くでシカが逃げていくお尻をチラリと見ただけでした。その代わり、林道従事者の方から離れることが目的で、これまで行ったことのない場所にも足を伸ばして、そこに大量のシカの痕跡を見つけたのは大きな収穫でしたね。今後の選択肢が1つ増えた気がします。
また、繰り返し書いているように、山にいるのは自分だけじゃないので、謙虚な気持ちでいつも山に入らないといけませんね。
改めてそんなことを思いました。
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