書評『ナイフマガジン 2011年8月』剣鉈の特集が為になります
ナイフマガジンを購読しているわけではないのですが、どうしても気になる特集があってこちらの2011年8月号を買ってしまいました。
その特集というのが『剣鉈を使いこなす』です。
気になりませんか? わたしはなりました。
『ナイフマガジン 2011年8月号』
2011年8月といえば、もう6年前。とっても古い号になります。こんな古い雑誌をなんのトラブルもなく買えるってのがAmazonの強みですね。
さて、雑誌というのはまず表紙と向き合わなくてはいけません。普通の書籍以上に雑誌の表紙というのは「顔」だと思っています。かなり思いがこもっていますからね。
今号の表紙を見てみましょう。気になるものが3つ目にとまりました。
パッと目に入るのは3枚刃のフォールディングナイフ。島田英承さんというナイフ作家さんが作られたランチャーナイフとのこと。“ランチャー” とは “牧場で働く人” のことです。アメリカの広大な牧場で働く人は、ポケットにこういったナイフを入れておいて、牧場内の仕事をこなすそうですよ。
表紙をさらに見ると『オーダーメイドのランチャーナイフ』とありますね。表紙のナイフはこの特集の為に作られたものです。この記事がまた尖っているんですよ。あとでご紹介します。
次に気になるのは『剣鉈を使いこなす』という特集。わたしも剣鉈を使うので、他の人がどう使っているかぜひ読んでみたいと思いました。
そしてハンターならば気付かなければいけないのは、島田秀承さんのナイフの後ろです。年代を感じさせる鉄砲が映ってますね。これ、まったく記事でも触れられていないのですが、これは暗に「ナイフマガジンはハンターも読者層だと思ってるよ」というメッセージなんじゃないかと勝手に思い込むことにしました。
特集『剣鉈を使いこなす』
こちらは高柳盛芳さん(愛称モリさん)という、利根沼田猟友会の監事をされている方による特集でした。
いやはや、この記事に出てくる写真がステキなんですよ。使い込まれた剣鉈ってのが良い味をだしていましてね。雑誌の写真をあんまり乗せるのはマズイと思うので、1つだけサンプルでお見せします。
どうですか? ステキじゃないですか?
モリさんは剣鉈を手に入れるとまずハンドルを加工するそうです。ご自身の手に合わせて太さを変えたり、滑り止めの溝を入れたり……。たしかに剣鉈は叩くように使う場面が多いので、滑っていかないように工夫がいるわけです。
さて、この特集の中で最も「おお!」と思ったのは「木の削り方」です。記事の中では焚き火を熾すために「太めの枯れ枝を剣鉈でザックリ削ってチップを作るんだ」と書いてありました。今で言うところのフェザースティックの役割りと同じですね。
でも、この作り方がいわゆるフェザースティックとは全然違うんですね。剣鉈の形状を活かした方法で、「ああなるほど!」と感動しましたね。どうやるかというと、柄と刃先を持って、手前に引き寄せるように削るんです。フェザースティックは刃を遠ざけながら削りますが、この場合は近づけながら削るというわけ。剣鉈は大きいので、片手でやるのは大変ですが、こうして両手で持って引き寄せればきっとやりやすいと思います。
詳しくは、ぜひ雑誌をご覧ください。
今度必ずやってみようと思いましたね。
『オーダーメイドのランチャーナイフ』
表紙の写真はこの特集のためのナイフでした。
先ほど書いたとおり、ランチャーナイフとは、アメリカの牧場で働く人がポケットに忍ばせておくナイフのことです。文化的に2枚刃・3枚刃のフォールディングナイフが多いようですね。
刃の切れ味が落ちたときに、もう1本の刃を使えばいいので、家に戻る手間が省けて便利らしいです。
さて、この特集は日本のナイフ作家にランチャーナイフを作ってもらい、それをアメリカの牧場主に使ってもらって評価してもらうという企画なのです。それも「2年も使ってもらって評価する」というのだから驚きです。
言い換えれば、この企画は2年前から準備をしていたわけで、「なんかすげーなー」と驚いてしまいましたよ。
企画の中では3名のナイフ作家がチャレンジしていまして、それぞれ個性を活かしてナイフを制作しています。これらの個性あるナイフをとある牧場主が2年も使い込み、それをレビューとして記事にしています。これがリアルでおもしろいんですね〜。
例を挙げると「ナイフのボルスターが尖っていてはいけない」という話題がありました。というのも「日常的にずっとジーンズのポケットに入れてあるので、そこに尖った角があるとポケットに負担が大きくなり、しまいには穴が空いてしまうから」だそうです。ファッションで持ち歩いている人にはない発想ですよね。
ナイフってロマン
ナイフってロマンだと思うんです。たとえばわたしは牧場主ではないですし、そうなる予定もありません。だけどランチャーナイフの記事を読むとワクワクしてしまう。
自分が持っているナイフを見て「これを牧場主が使ったらなんて言うんだろう?」と考えてると、その妄想だけでしばらく酒が飲めるくらい楽しめるんです。
人が使っているナイフを見るのも同じ理由でおもしろい。研ぎ減りして、ブレードの形が変わってきたようなナイフを見ると、そのナイフへの愛情を感じます。どうしてそのナイフが好きなんだろう、と考えるとまたロマンが広がっていく。
ナイフには不思議な魅力があります。
そんなロマンをかき立ててくれる雑誌でした。
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