書評『羆撃ち』 ヒグマ猟で生きてきた人間の泣き顔

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本日ご紹介する狩猟系の本は『羆撃ち』になります。

情熱大陸でも紹介された久保俊治氏の半生を描いた、ドラマティックな自伝です。

泣き顔の本

この本、とにかくロマンティックです。

内容は久保俊治氏の自伝。彼が子どもの頃から始まり、憧れのヒグマ猟師になり、成長していく過程が描かれています。

前半はヒグマ猟師としての成長が、後半は彼が渾身の力を込めて育て上げたフチという猟犬が主題になります。

ここからがこの本の真骨頂だと思います。

久保俊治氏はフチを溺愛し、最高の猟犬として育て上げます。ときに厳しく、ときに優しく……、デレデレとした飼い主とペットという生ぬるい関係ではなく、仲間としてフチと仕事をします。

また、長年の夢だった「アメリカで猟師になる」という目標も叶えます。アメリカに行き、現地でハンターガイド系の学校に通い、実際にガイドとして収入を得るのです。

彼の行動力と、猟師としての手腕は目を見張るものがあります。しかし、その手腕や凄さがこの本のメッセージではないような気がするのです。

現在、久保俊治氏は妻に先立たれ、娘ふたりは家を出て、愛犬フチも亡くなっています。

この本を読むと、ひとりになった久保俊治氏が泣きながら人生を振り返るような情熱を感じるのです。

ロマンティック

きっと著者である久保俊治氏がロマンティックなのでしょう。

なにしろこの本は彼が十代の頃から始まります。そしてその当時の猟の様子が、まるで昨日のことのようにドラマティックに語られます。あれほど繊細に描けるのは、記憶力がいいからではなく、その時の自分の「心」の状態が刻まれているからでしょう。

このドラマティックさを「苦手」と思う人もいるかもしれません。たしかに陶酔しきった文章で、まさに「自分に酔っている」と言っていいでしょう。

しかし、わたしはひとりの猟師が、山にこもり、感じ続けたロマンを汗をかきかき原稿にぶつけているという不器用な情熱を感じるのです。その不器用なロマンティックさが胸を打つのです。

わたしはこの本が好きです。

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