“念のため” と道具を増やさない戦い
山に行くとき、なにを持っていくかを考えるのは楽しい瞬間ではありますが、一方で悩ましい時間でもあります。
「これは必要かな〜。まぁ、“念のため” 持っていこうか」
「もしかしたら使うかもしれないし、軽いものだし、“念のため” 入れておこう」
そんなことを考えながら、何の気なしに荷物を広げていくと、気付けば凄い量の荷物になった経験をした人もいるはずです。
「あれ? 日帰りのちょっとした登山にこんなにたくさんの荷物がいるんだっけ?」
ぼくもよくなりました。そうならないためには “念のため” と戦わなくてはいけないのです
ある日の朝……
「よし、山にでも行くか」
山道具を広げて必要な道具を考える。
昼飯は食べたい。だからクッカーを1つ……。メニューは道中のコンビニで考えるんだけど、メニューによってはクッカーが2コあった方が便利だよな。それじゃ、まぁスタックしちゃえばかさばるものでもないし、クッカーは念のため2コ持って……。
予報では小雨が降る可能性があるのか……。ごはん食べるときに雨だったら嫌だから、念のためタープを1枚持っていくか。そうしたら、雨でもゆっくりごはんを楽しめるし……。
地面がぬかるんでいたら座りにくいし、念のためマットでも持って行こうかな。
冷えたら困るから念のため……。
スマホのバッテリーが切れたら困るから念のため……。
念のため……念のため……。
“念のため” にも2種類がある
“念のため” 入れておく荷物もザックリと2種類に分けられそうです。
- 事故対応のために “念のため” 必要なもの
- 楽しむために “念のため” 持っていくもの
前者はファーストエイドキットや防寒着、雨具などがその代表だと思います。後者は「クッカー1つでいいところを、あれば便利かな、と2つ持っていく」みたいな話ですね。
闇雲に減らすことが正解とは思わない
こうやって書いていると「“念のため” と持っている荷物は減らそう」と主張すると思った方がいると思いますが、必ずしも減らすことを主張しているわけではありません。
とくに安全面を犠牲にする軽量化は考えものですし、闇雲に減らすと山の中で立ち往生してしまうこともあるでしょう。
また、遊びのための荷物も、少しムダがあるくらいがおもしろいと思うんです。「今日はゆっくり山の中でメシを食うぞ」って話なら、クッカーを余計に持っていくのはありでしょうし、なんならラジオや文庫本、タープまで持ち出して、超リラックスモードに入るのもありかもしれません。
でもね。
減らすことから学ぶこともある
荷物を減らすと工夫しなければいけないことが増えます。
たとえばクッカー1つで食事とコーヒーを効率よく作ろうと思うと工夫が必要です。
たとえば最初にたっぷりのお湯を沸かして、そのお湯の一部をコーヒーにして、残りのお湯に具材とうどんを入れる……とかね。
あるいはクッカーが汚れにくいレシピを選んで、調理後にコーヒーが作れるようにするのもありですね。お米の代わりに餅を焼けばクッカーを使わずに飯が食えます。
ほかにも防水性のあるアウターを使えば雨具を省略できます。あるいは雨具を持つ代わりに防寒具を省略するという選択もあります。
小雨で濡れるのがイヤなら、山の中でも濡れにくい場所を探せばいい。密な樹林帯に入り込めば、それなりに雨は防げます。なんでも創意工夫でやれるもんです。
たまに “念のため” を減らして山に行くとおもしろい
こういうのって実践してみるとおもしろいンです。
たまには山道具を徹底的に減らして、最小限の荷物でどれくらい楽しめるかやってみるといいですよ。
言うまでもなく、そういう実験は知ってる山で——しかもなんかあってもリカバリーできる場所でやるといいですね。「テントなしで野営してみる」なんてこともやったことがありますが、なんとかなるもんですし、1度やってみると、2度目は精神的なハードルが下がります。そうすると夏の山遊びなら「まぁ、ビバークすることになっても大丈夫」という強い気持ちが持てますね。
ただし繰り返しますが、山の経験と技量が伴ってできることです。夏山でも高所まで行けば想像以上に冷えることがあります。季節、行き先、やることなんかを総合的に考えて、無理なく減らすというのも、一種の技術なんだろうと思います。
荷物を減らす楽しみもあるんだよ〜ということを、ぼくは言いたい。
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