映画『運命を分けたザイル』本人によるインタビューが斬新なノンフィクション映画

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今日も映画のご紹介です。何か最近、山関係の映画に取り憑かれていまして、いくつか見てしまったんですよ。

今日ご紹介するのは『運命を分けたザイル』です。ノンフィクションで、しかも本人たちのインタビューと平行して物語が進むので、とんでもないリアリティです。見ていて戦慄が走るというか、心臓がキュッ絞られるような気分になる映画でした。

『運命を分けたザイル』

この映画はAmazonプライムでレンタル可能ですので、気楽にどうぞ。

まずはあらすじを見てみましょう。

生か、死か-その状況下でほかに選ぶ道はない若き登山家ジョーとサイモンは前人未到のシウラ・グランデ峰を制覇後、下山途中、高度6400mで遭難してしまう。滑落したジョーは片足を骨折、氷の絶壁で宙吊りになってしまう。2人を繋ぐのはたった1本のザイル。遥か下方にはクレバスが大きく口を開けている。生か、死か-。ザイルを切らなければ、2人とも死んでしまう。究極の選択を突きつけられたサイモンと絶対絶命のジョー。そして、決断の時-。クレバスの蒼暗い闇の底で目を覚ましたジョー。押し寄せる絶望と孤独。「ここで死んでしまうのか・・・・・。」極限状態の中、ジョーの新たな勝負が始まった。

運命を分けたザイル

このあらすじ、ちょっと誤解を招くような気がするので、ネタバレ覚悟で少し書き足します。

タイトルもそうなんですが、“1本のザイルで繋がれて、それを切るか切らないかの葛藤の物語” のような表現がされていますが、そうじゃないんです。たしかにそういう場面はあります。下山中に足を骨折したジョーが、その後、ザイルで宙づりになってしまうんです。ザイルを支えているのはパートナーのサイモン。サイモンもいつまでも支えていることができなくなって、切るという決断をします。っていうか、「切るか切らないか?」と迷ってから数秒で切ります。

それくらい切らなきゃどうしようもない状況であり、フィクションの映画のように軌跡が起きたり、想像を絶する救助方法を思いついて助け上げるような話じゃないんです。

切らないと両方死ぬ。切れば少なくとも自分は助かる。そういう状況で登山家としての普通の判断として、切ります。

むしろその切った後が、この映画の見所なのです。

 

怪我=死

そもそもジョーが骨折をしたときの場面が深くやるせないのです。

下山の途中、ジョーがちょっとしたミスで少しだけ滑落。そこで片足をひどく骨折します。そこでジョーは確信します。

「まだ難所が続く下山ルートだ。サイモンが俺を救助するなんて不可能だ」

サイモンは骨折の痛みに苦しむジョーに痛み止めを与えます。その痛み止めを飲みつつ、ジョーはまた思います。

「きっとサイモンは『おまえを置いて行く』と言いづらいから、こうやって薬をくれたりしているんだ。このあと、俺を置いて行くだろう。俺ならそうする」

サイモンは全然喋りません。

 

この場面はベテランの登山家らしい心理描写だと感じましたね〜。高所での怪我はそのまま死を意味します。また、救助不可能と判断すれば、置いて行くこともやむなし、です。

しかし、この直後、サイモンはジョーをザイルに繋ぎ、どうにか下ろすべく画策します。

 

見えない二人がザイルで繋がれて……

この映画の1つのピークであり、薄ら恐ろしい場面がザイルで二人が繋がれて行動不能に陥る場面です。

まともに歩けないジョーをザイルに繋ぎ、サイモンは少しずつ斜面を滑り落とさせます。自分は斜面の上の方に踏ん張って、ジワジワとジョーを下ろしていくわけです。ある程度下ろしたら、今度は自分も降りていって、そこからジョーをまた滑り落としていくわけです。

しばらくこれがうまくいきますが、事故はこの作業中に起きます。

霧が出て、視界はありません。ジョーはジワジワと滑り落ちていきますが、徐々に傾斜がきつくなり、しまいには崖に落ちてしまいます。サイモンがザイルを握っているので落ちることはありませんが、ジョーは崖に宙づりです。

——と映画を見ているわたしたちは状況を理解していますが、サイモンは何が起きたか分かっていません。ザイルはぴんと張っている。視界がないからジョーは見えないし、その先に崖があることも知らない。一方ジョーは宙づりで、為す術なし。片足はひどい骨折で、たとえ健康体でもやれることはない状態。

サイモンはわけも分からず、ジョーの体重を支えるために踏ん張り続け、ジョーは何もできずただ宙づりで震えている。お互い叫ぶも、遠くて聞こえない。この状態で1時間以上が経過し、サイモンはナイフを持っていたことを思い出す。

「このままじゃ両方死ぬ」

と、ひと思いにザイルを切ります。サイモンは崖を落ち、その下にあったクレバスに落ちてしまうのです。サイモンは翌日になってそのクレバスを見ますが、「ここに落ちて生きていられるわけはない」とジョーの死を確信。

 

しかしジョーは生きていたわけです。

 

迫真の演技と本人のインタビュー

この映画はインタビューと再現映像が交互に流れます。

再現映像もリアルなんですよ。後半は目を覆いたくなるほど痛々しくて、見てられない感じでした。またインタビューの方はといえば、サバサバと「あいつは死んだと確信した」とか「自分がザイルを切ったことをごまかしたいと思った」とか、すごいリアルに喋ります。それが生々しいこと生々しいこと。

ひとつの遭難事例として、勉強になるというか、気を引き締めたくなるような映画でした。

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