書評『狩猟生活』ジビエ肉を起点に生活を考える

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2017年2月28日に創刊された新しい狩猟雑誌『狩猟生活』。

さっそく読んでみましたので、感想を書いてみたいと思いますよ。

雑誌の顔

「人を顔で判断してはいけない」

そういう意見を聞く一方で——

「人の生き様は顔に出る」

とも言います。

今回ご紹介する雑誌『狩猟生活』は今回が創刊号。今後の雑誌の成り行きを思うと、この創刊号が顔になるわけです。

そしてその顔である創刊号の最初の記事。それも目次さえ差し置いて出てくる文章が2つあります。それが『Dear Readers』という編集部による創刊の挨拶的な記事。そしてそれに続いて6ページにわたり書かれている千松信也さんの『野性のお肉の味わい方』。

これらはまさに創刊号の顔です。今日は顔の顔ともいうべき、これら2つの記事に着目して、この雑誌について考えてみたいと思います。

顔で判断することの是非はともかく……。

Dear Readers|編集部 鈴木幸成

こちらはあくまで創刊の挨拶ですので、おもしろいってことはありませんが、少なくとも雑誌の性格を読み解くヒントはいくつかあります。

彼ら(若いハンター)は、自然からいろいろなものを得る持続可能なライフスタイルに興味を持っていたり、近接する地域の鳥獣害の被害を食い止める目的だったり、単純に獲って食べる楽しみだったり……動機は様々ですが、自身の手で獲った野生動物の有効活用を日々、模索しています。
『狩猟生活』P.5 Dear Readers

狩猟をすることは、「獲ることから口に入るまで」のプロセスをみずからの手で行うということ……人が生きていくためには、他者の命をいただかなくてはならないことを、多くのものを手に入れやすい現代社会において改めて認識させられます。
『狩猟生活』P.5 Dear Readers

これらの抜粋などを通してわたしが感じたのは、まずこの雑誌は若いハンターを対象読者にしているということ。そしてライフスタイルとか価値観というものを発信していこうという意図を感じる、ということ。

「楽しく猟をやろう」だけでなく、そこに「持続可能なライフスタイル」とか「より良い狩猟のあり方」とか「現代における狩猟の立場」なんかを考えながら発信しようという意思が滲み出ている気がします。

野性のお肉の味わい方|千松信也

さて、上の『Dear Readers』に続いて登場するのが『ぼくは猟師になった』などの著書で有名な千松信也さんの記事です。

目次さえも差し置いて登場する創刊号の顔です。

そしてここで語られることは——

つまり、日本では肉というとほぼ99%が家畜の肉のことを指すため、そこで旬が意識されることはほとんどない。
『狩猟生活』P.8 野性のお肉の味わい方

肉の旬——。

狩猟に興味を持ち、あれこれ本を読んだり、ネットをブラブラしていると「肉の旬」の話題は必ず出てきます。マタギ系の本を読んでいても「いつの肉がうまい」という発言は必ず登場します。

肉の旬というのは狩猟に興味を持った人が得る新しい価値観のひとつなのかもしれません。

野生動物の肉に関しては、「旬の肉に当たったらすごくおいしい。でも自然界で暮らす生き物の肉なんだから肉質に差があって当然。その違いを意識して調理法を考えるのも野生動物の肉を食べる醍醐味のひとつ」くらいな感じで認識してもらうのが良いのではないかと思っている。
『狩猟生活』P.11 野性のお肉の味わい方

この記事で言おうとしていることはすごく納得できます。日本人にとって魚の旬は当然のもの。同じ魚でも季節によって味が違うことを受け入れているし、獲れた場所によって味も値段も違ってくることを当たり前のことだと認識しています。

ところが肉に関してはその認識が弱い。「冬の牛はうまいよね」などという会話はあまり聞きません。

ジビエ肉を日本の社会で流行らせようと思ったら、この「肉の旬」というキーワードとセットで広めていかないと、正しく認識してもらえないだろうと思います。

雑誌『狩猟生活』

『狩猟生活』というタイトルは「狩猟をする生活」という意味なのでしょうか? きっとそうなのでしょうけど、今回の千松信也さんの記事を読んで、もしかしたら「狩猟と生活」なのでは? と思ったりしました。

生活とは「生きて活動すること(大辞林)」。その中心にあるものは「食」です。

その食の中の「肉」に注目して、「肉」から生活を見上げてみよう、という雑誌の志を感じました。

わたしはきっと次号も買うと思います。

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