【お手紙】猟友会に入るか迷っている人へ

最終更新日

猟友会に入るのが不安という人の話をよく聞きます。

ぼくは猟友会に所属しているものの、猟友会側の人間とか、そういう立場ではありません。あくまでただの普通のハンター。

これまで転居などで3つの支部を経験したので、少しは支部による違いも経験してきました。そんな立場から「猟友会に入るか迷っている初年度のハンター」に向けてお手紙でも書くつもりで、記事を書いてみることにしました。

猟友会は良くも悪くもそんな大袈裟なものじゃないよ

この記事を読んでいるということは、猟友会の悪い噂でも聞いて不安を感じているのでしょう。

「年よりのハンターに意地悪をされるって聞いた」
「縄張り争いとか、派閥争いがあるみたいで……」
「人付き合いが面倒で……」

わかる。すごくわかる。ぼくも根っからの人見知りで、できることなら他人と会わずに生きていきたいと願っているタイプですから。猟友会に入るにあたり同じ不安をもっていましたよ。できればひとりでコソッとやりたいとさえ思ってました。

大丈夫、安心してください。

「意外といい人ばかりで楽しいから、思い切って飛び込んでみると良いよ」

だなんて寒いことは言いません。逆です。ぼくが伝えたいことは1つ——

「猟友会に入ったからと言って、自動的に交流させられるわけじゃない」

ってことです。支部によるけど、積極的に集まりに参加するんでなければ、顔を合わせるのはせいぜい年に2回ほど。事務手続きのときだけ。ほら、誰だってたまには市役所で住民票をとってきたりするでしょ? そんときにいちいち窓口の人に緊張したりしないでしょ? それと同じ。言われたとおり書類を書いて、質問があれば質問して、もらうものをもらい、払うものを払い、それで終わりです。

飲み会とかあるけど、イヤなら参加しなくていい。

ぼくは最近でこそ「そういうのも楽しいかな」と思うようになったから参加しているけど、過去に所属していた支部では1度も参加したことがない。それで何かを言われることもない(だって会うこともないのだから)。

猟友会に入ったって、面倒な交流はないもんだ。

 

でも残念ながら嫌な思いをすることもあるんだ

ここまで書いたように、大抵は「あれ? そんな悪いことも起きないもんだ」と感じると思う。だけど、稀にクソみたいな経験をすることもある。ぼくもある。

じつはみなさんが付き合うのは猟友会の支部だけなんですが、その支部はどこもそれぞれ自由にやってるわけですよ。

参考:「猟友会に入るべきか?」問題について考えてみる

だからめちゃくちゃ良い支部もあれば、ハズレ支部もある。まぁ、ハズレ支部にあたっても交流がなければ距離を置いておけば良いだけだから、大抵はうまくやっていけるもんなんだ。

でもたとえばものすごい少人数の支部で、がっつり交流しなくちゃいけない雰囲気で、しかも嫌なことを言ってくる人がいたりすると逃げ場がない。ここまでキツイ話はそんなに聞かないけど、ゼロでもない。あるときはある。世界はそんなもんだから。

 

やめてもいい、支部を変えてもいい、というカードを持っておく

で、そんなクソみたいな経験をしたときに「我慢しなよ」とは言わない。うまくやっていける人はやればいいし、耐えられないと感じたらちゃんと次に打つ手がある。

まずは支部を変えることを考えよう。

支部は地域ごとにあるから「地元の人のためのもの」と思っている人もいるけど、猟友会自体にそういうルールはないみたい。そのあたりも支部ごとに任されているので、「うちの支部は外部の人を歓迎してるよ」という支部もあれば、「うちは原則、居住者だけ」という支部もある。

さっきも書いたように猟友会の集まりなんて年に2回くらいなのだから、隣町の支部になっても大した問題はない。

それもイヤならやめちゃえばいい。猟友会に入らなくても猟は続けられる。

ハンター保険、狩猟登録、弾の無許可譲受の3点を毎年揃えれば良い。どれも猟友会と関係なく揃えられる。ただちょっと情報収集能力と行動力が求められる。

誰かに聞けば全部教えてもらえるというレールから外れるので、1つ1つ自分で探し、問い合わせて、足を運んで手続きを進めないといけない。

ぼくは1度まじめにそれをやろうとしたことがある。嫌な思いをしたからではなく、単純に「猟友会に入らなくてもいいんじゃないの?」と思ったから。でも調べてみると結構面倒よ。やってる知り合いもいるから、慣れちゃえばなんてこともないんでしょう。

この事務手続きの為だけにでも猟友会に入った方が楽だと思う。

 

入るメリットって意外とある

ぼくは猟友会の回し者ではないのだけど、正直言って「入っていて良かった」と思ってる。今いる支部に対しても感謝しかない。

今いる支部も強制的な集まりなどはない。なにもなければ手続き的な理由で年に2回顔を合わせるだけ。

でもぼくは移住してきた人間だから、この地域のことを何も知らない。猟友会に入らずとも手続きは自分でやれる。だけど、ちょっと困ったときに訊く相手がいるってのは本当にありがたいもんだ。

さっき「情報収集能力と行動力が必要」と書いたけど、あれは手続き的なことだけじゃない。たとえば「あの山は法律的には猟をやれるけど、近隣の人がすぐに通報するから面倒だよ」みたいなことも自分でリサーチしないといけない。

ぼくは初年度、猟友会に所属してはいたものの、単独猟を良く思われてなかったこともあり、そういうことを全部自分で調べて把握に努めた。ものすごい労力だった。何度も山に通い、人間の足跡の有無を確認したり、わざと休日に走り回って巻狩の有無を確認したりもした。

こういうことって、ネットじゃ調べられないからね。

ぼくはこうやってブログを書き、SNSを通じて猟友も作り、いわゆる「ネットの人」だと思われているだろうけど、やっぱりネットじゃ分からないことがたくさんあるのも知ってる。狩猟ってすごくローカルな行為だから、その土地と無関係ではいられない。

ムリに猟友会に友だちを作れって言ってるわけじゃない。でも困ったときに泣きつける場所があるってのはありがたいもんだ、ってこと。

 

オススメは「入ってから考える」

ぼくはまず入ることをオススメする。

たぶんほとんどの人は拍子抜けすると思う。「あれ? 別に嫌な思いなんて何もしないじゃん」って。

で、よっぽど嫌なことがあれば、支部を変えればいい。それが難しければやめちゃえばいい。

「やめてもいい」って思っていれば、意外とうまくやっていけるもんだ。

1〜2年でも猟を経験すれば、手続き的なことも頭に入るだろうから、猟友会を抜けるにしても「やるべきこと」は頭に浮かぶと思う。まったくの初年度から猟友会に入らずにやろうとすると、不安がつきまとうかな、と思う。

 

狩猟っておもしろいから。

猟友会に入るかどうかよりも、もっとおもしろいことで頭を悩ませようぜ。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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