流し猟日記:やってみて気付く自然と牧草地

最終更新日

初めて流し猟というものに挑戦してみました。

わたしの場合、運転中は絶好の「考え事タイム」。流し猟はいかんせん運転時間が長いものでいろんなことを考えてしまいます。

流し猟は情報戦?

北海道を車で走ったことがあれば、牧草地で堂々と草を食べるシカの姿を見たことがあると思います。

わたしはシカを見るのも好きなので、いつもキョロキョロ見渡しながら走っています。だから牧草地のシカなんて飽きるほど見ています。

でもね。

これを獲るとなると、話は別。いろいろ難しい悩ましい問題がつきまとう。

 

悩み1:そこは獲っていいところ?

牧草地は私有地であり、持ち主の了承を得る必要があります。

わたしのような移住者だと、牧草地を見てもそれが誰の持ち物か分からないことが多いです。近くに牧場があったから聞いてみたら、持ち主ではなく、遠くに住む別の人が持ち主ってこともあります。そういうのを1つ1つ解読して、了承を得るわけで、大変です。

わたしはこの点で協力して頂ける方がいて、いろいろ場所を紹介してくれたので、かなり助かりました。

 

悩み2:車は入れる?

「撃ってもいいけど、車は入れて欲しくない」

そういう場所もあるんです。あるいははっきりと「車はダメ」とは言わないけど、「深い轍を作らないでほしい」というのは共通の思いだと思います。

牧草地って遠目に見ると草原で、簡単に車で入れそうだけど、結構ドロドロとした湿地?だったりするんです。そこに入っていくと深い轍ができちゃうし、ちょっとした場所でスタックしてタイヤを空転させたりすると穴が深くなって平らだった草地があっという間に凸凹に……となるようです。

たとえば雪解け直後や強い雨の直後だとグズグズで入らない方が良いなんてこともあると思います(場所による)。

さらに言えば、新しく種まきした場所などは避けた方がいいとも聞いています。とにかく牧草地に車を入れるのは注意が必要なのは間違いないです。

 

悩み3:人の目が気になる

牧草地ってのは割と大きな道路の近くにもたくさんあります。獲っていいと言われている場所でも、割と車の通りが多かったり、遠くに人の家があったりして、そわそわします。

忍び猟に慣れているからか、人に見られる可能性がある場所で狩猟をやるのが苦手です。

 

悩み4:遠い……

牧草地にシカが出る場合、大抵は道路から一番遠い場所に出てきます。まぁ、呑気なシカが牧草地の真ン中ぐらいまで出てきちゃうこともありますが、まぁ、やっぱり遠くにいることが多いですね。

牧草地は広いので、軽く500mオーバーなんてこともザラ。そこまでいかなくても200〜300mくらい離れていることがかなり多いものです。

 

すべての条件に合う場所はどこだ!

ここまで挙げた条件だけでも、すべて揃う場所を見つけるのはひと苦労です。

獲っていい牧草地で、車が入れて(あるいは車を入れなくても回収できて)、人の目を気にしなくて良い立地で、射程距離のシカが出て来る場所。

さらに言えば、ほかのハンターが入っていてスレている場所だとやっぱり難しいし、バックストップだとか、車を隠して止められる場所とか、とにかく考えることが多い。

そしてこれは走り回って良い場所を探すしかない。

——とよく考えてみると、これは忍び猟も同じ。自分にとってやりやすい場所は自分で探すしかないわけです。

 

牧草地も自然の一部

じつは「シカは山の中、自然の中で獲ってこそ」みたいに思っている節があります。山で獲る方が偉いとか、凄いとか、そういう話ではなく、趣味の問題です。なにしろそれが好きで狩猟を始めたクチなので。

でも牧草地を回っているうちに基本的なことに気が付きました(考え事をする時間が多いと言ったでしょ)。

——シカからすれば、牧草地も自然の一部。

けっして牧草地に突然ワープしてくるわけじゃなくて、シカが生息している山から下りてきて牧草地で食べるわけです。シカにとっては生活の延長線に牧草地があるのは間違いないわけです。

言い換えれば、牧草地にいるシカも、時が来れば山に戻るわけで、シカの動きを知る上ですごく重要なことな気がします。冬にやる忍び猟に対する知識・経験も溜まるように思います。

 

さて、猟の方はといえば

実際に鉄砲を持って流すのは初めてでした。下見として走り回っていたので、違いと言えば鉄砲を持っているかどうかだけ。

でも鉄砲を持っているかどうかで見えてくる景色も気持ちも違ってきます。この日もまさにそうでした。

いつもと同じ牧草地ですが、まったく違って見えます。はるか遠くに見える鹿はいましたが手が出ませんし、バックストップのない開けた牧草地にもいたけどやはり撃てない。

とにかく知ってる牧草地を全部回ってみるつもりで走ったのですが、あまり優先度の高くない場所も律儀に回ったせいもあり、予想以上に時間がかかってしまいました。そのせいで回りたかった場所を回りきれず。

狙える獲物も見つけられませんでした。

 

道具類の考え方

忍び猟と違って車に道具を積めるので、道具の苦労はあまりありません。

とはいえ、ノウハウも色々ありそう。

とりあえず鉄砲はこんな感じで助手席にセット。裸銃にならないのはもちろん、その疑いの目も向けられないように常に2重にケースに入れます。内側の銃カバーの開口部は外側のケースの底にあるので、絶対にガンちらすることはありません。

さらに言えば、撃つ可能性があるときはこのような状態ですが、一般道に戻って移動モードになる時は後部座席に移しちゃいます。

 

1番使うのが双眼鏡。ダッシュボードに置いてあります。今は忍び猟で使う手作り双眼鏡ハーネス(参考:簡単&安価な双眼鏡ハーネスを作ってみました)がついていますが、紐は邪魔でしたので、流し猟モードの時はストラップなしがいいですね。

同じ理由で鉄砲のスリングも不要かと思ったのですが、発砲時の安定性を得るためにスリングを使う事もあるので、そちらはつけたままやってみます。

いや〜双眼鏡をスマートにおける場所が欲しくなりましたね。ダッシュボード上だとちょっと手を伸ばすのが面倒。助手席は油断するとモノだらけになるので、あまり置きたくない。ちょっといろいろ考えてみます。

 

自分にとって心地良いやり方を探す

ぼくは100頭200頭を獲ろうと思っているわけではないので、ひたすら合理性を追求するよりは心地よくやれるようになりたいですね。

人の目が気にならないところで、のんびりとシカが降りてくるのを待つのもいいですね〜。もしかしたら一ヶ所に留まって「流さない流し猟」がわたしのやり方かも知れません。

ある程度、シカが出て来る場所、時間などが読めるようになってきたら、この待ち伏せスタイルに挑戦してみたいですね。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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