雪が積もりてクマを思う

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雪が積もる。

有無を言わせない強引な季節の変化である。晩夏のように「夏の終わりか……秋の始まりか……」といった曖昧さはない。

先日、車中泊をしていて目を覚ましたら、外が真っ白に染まっていた。林道の最奥地にいたので、少し焦った。途中、林道が荒れている場所があるので、あまり積もると出られなくなるような気がした。

この季節の変化と共に頭をよぎるのがクマの冬眠である。

よくある誤解として「クマは雪が積もったら冬眠する」というものがある。100%の間違えとは言わないものの、本当の因果関係は雪ではなく、食料の枯渇だろうと思う。雪があろうがなかろうが、エサがなければ冬眠する方が合理的だ。逆に言えば、エサがあるなら冬眠の必要はないだろう。実際、あまり雪が積もらない地域でも、クマは冬眠する。

とはいえ雪がしっかり積もると、エサを確保しづらくなり、結果として冬眠する個体が増えるのは事実だろうと思う。

実際に積雪とともに冬眠するか否かとは関係のない、現実的な問題がある。

無雪期に山を歩いてクマの痕跡がないとき、「うまく見つけられなかった」となる。一方、積雪した山では痕跡があれば明らかであるが故に、痕跡が見当たらないと、そのあたりにクマがいない(少なくとも行動していない)ことが明らかになる。これはクマを追う私としては、心底寂しいものなのだ。

2度3度と山に入り、痕跡が見当たらないとなると「ああ、もう冬眠しちゃったかな」と思わざるを得ない。無雪期なら、「いや、おれの見てる場所が悪いのだ!明日も探すぞ」とこぶしを握ることができるのだが、雪の中では項垂れることしかできない。

そして第2の問題として、林道が雪で埋まると、山に入りにくくなる。

事実、わたしが得意としている山域の大半の林道はもう入れない。苦し紛れに手前に停めて歩いたりもするが、あまり奥地に入りすぎると、仮に獲っても回収がままならない。現実問題として、難しさがあるのだ。

毎年、この根雪を見ると寂しい気持ちになる。

「もう冬眠したんだろう」と割り切って、シカ撃ちに集中すれば良いのだが、「まだ起きているヤツがいるはず」という希望をかすかに秘めて、今日も山に行く。

沈鬱の雪なのである。


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武重謙@やまくじ

ひとり山でヒグマを追うハンター。 狩猟系作家。宿泊施設経営。狩猟ブログ『山のクジラを獲りたくて』。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』などに寄稿。 著書『山のクジラを獲りたくて』(山と渓谷社) http://amzn.to/2NYn9Sv

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