銃をザックに固定するKifaru Gun Bearerを実際に使ってみて

最終更新日

 

以前の記事でも紹介したKifaru Gun Bearerというザックに鉄砲を固定するアイテムを何度も何度も使ってみて、自分なりに思うことが出てきたので、実践レビュー的に紹介していきます。

「興味がある」という声もたくさん頂いていたので、そういう方はぜひ読んでみてください。

Gun Bearerについては過去紹介していますので、そちらをご覧ください。

渉猟で銃を楽に携行するために買ったKifaru Gun Bearerのご紹介

ざっくり見たい人のために、使用イメージ動画を張っておきます。

結論:無雪期の大物猟には向かない

まず結論なんですが「無雪期の大物猟には向かない」です。商品の良し悪しではなく、向き不向きなので、結局は人によると思いますが、ぼくなりに向かない理由を書いていきます。例外もありますので、その点はあとで挙げていきます。

以下、「欠点」とするのは、あくまで僕の用途における欠点なので、用途によっては気にならない部分もあるかもしれません。あしからず。

圧倒的な欠点:装着の手間

以前の記事でも書きましたが、装着には手間が掛かります。普通のスリングなら1秒もかからない上、まったくノールックで背負えるのに対して、Gun Bearerはどうしても数秒かかり、しかも装着でどうしても目線が下に行きます。

ぼくなりに「脱着は獲物を撃つとき」という考えで、「これは大きな欠点にならないだろう」と思っていましたが、ダメ。無雪期の山を歩くと、実はかなり頻繁に鉄砲を上げ下ろしすることに気付かされました。

たとえば藪を越えるとき、倒木を潜るとき、狭い木の間を抜けるとき、鉄砲を下ろして、手に持って通り抜けます。背中に背負ったままでは引っかかるし、鉄砲がガンガンとぶつかってしまうし、いいことはありません。

Gun Bearerから鉄砲を下ろすのは手間ではありませんが、装着が手間なので、何が起こるかというと——

「笹藪だ。くぐらないとな……さて、鉄砲を下ろして……」
ガサガサガサ、と笹藪を越える。
「鉄砲を背負い直すか。いや、向こうにまた藪があるな、めんどくさいから鉄砲は手に持っていくか……」

ってな感じで、背負うのが手間だから手に持っておこうという考えになりがちです。これが死ぬほど手間。スリングだったらほぼ無意識に藪を抜けたら背負い直せば良いだけのことなのに、いちいちそこで頭を使ったり、手間をかけるのは本当に嫌。

さっきの例では、次の藪が見えているからまだいいんです。もっとひどいのはこんなとき。

「笹藪だ。くぐらないとな……さて、鉄砲を下ろして……」
ガサガサガサ、と笹藪を越える。
「よし、鉄砲を背負い直そう……Gun Bearerに装着してっと」
歩き始めて10秒で、倒木を潜らないといけない場面に
「あああああ、もう、いま装着したばかりなのに、手に持ってりゃ良かった!」

なんて感じ。山の中では次にどんな場所に出るか読めないことも多いから、せっかく手間をかけて装着しても、下手すりゃ何分もしないうちにまた下ろして、また装着して、また下ろして、また装着して……と繰り返す羽目になります。

 

上記の例は障害物を越えるための脱着ですが、獲物の気配も同様です。

かすかな物音がしたとき、一応鉄砲を手に取るわけです。で、その音が小鳥の音だとわかれば、また背負い直すわけですが、ここで手間を感じてしまいます。そして何が起こるかというと「ん? 音がしたぞ。獲物か? でも下ろすとまた装着するのが面倒だから、もうちょっと様子を見よう」なんて具合に、横着をするようになります。これは本当にダメ。狩猟で横着するようになったら、絶対ダメ。横着したくなるような道具はダメ

 

小さな欠点:思ったよりも右手の自由度が低い

Gun Bearerに装着すると、銃の重さはザックにかかり、身体はすごく楽になります。その点はやっぱりメリットとして感じますが、脇の下に銃が固定されて、思ったよりも右手(ぼくは右に銃を固定する)の自由度が低いです。

この「右手の自由度が低い」というのは、とっても感覚的なものなのですが、歯の間にゴミが挟まったような異物感。それ自体が不便ってことじゃないけど、いつもちょっとだけ気になって、意識が少しそっちに持って行かれるような、小さな不快感がつきまといます。

これはもしかしたらずっと使っていれば慣れてくるのかもしれません。それなりの回数と時間、Gun Bearerを使ってますが、ぼくはまだ小さな違和感を払拭できずにいます。

 

メリット:やっぱり身体は楽

長い時間、淡々と歩くとき——たとえばぼくは林道を長く歩くことがありますが、そんな場面ではとっても楽。やっぱり4kg強ある鉄砲の重さが右肩1点にかかるのと、ザックを通してウエストベルトに掛かるのとでは全然違う。

脱着の回数が少ないと確信があるなら、Gun Bearerは強い味方になると思います。

 

まだ諦めていない……使いどころはどこか?

じつはGun Bearerに対してまだ諦めていません。今回の記事でも「無雪期の大物猟には向かない」と、わざわざ「無雪期」を強調しているのはわけがあります。

ぼくは積雪期に入ると、ゾンメルスキーを使ったスキー猟に切り替わります。

スキー猟では、藪という藪は雪の下。ほとんどの倒木も雪の下。藪を潜ったり、倒木を越えたりするような、ガサゴソガサゴソするような動き方は減り、大半の時間は平地をゆっくりとスキーで流します。

スキーでは両手にストックを持っているので、しっかりと両手が空くのは大きなメリットですし、獲物もわりと遠くで見つけるので、即座に撃つようなこともあまりありません。

「お、いるいる。よいしょっ(と銃を下ろして)、弾を込めて、んーー、座って撃つかな……」

くらいのスピード感です。となると、行動中の負担が少ないGun Bearerの強みが生きてくるのではないか、と期待しています。

 

というのが、今のところのKifaru Gun Bearerの評価です。正直に言うと、もうGun Bearerは取ってしまい、普通にスリングを使用していますね。スキーの時期に入ったら、また改めて使ってみたいと思います。そうしたら、改めて記事にします。

 


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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