《質問箱》単独猟で獲物を獲ったことがない人へ

最終更新日

過去に受けた質問に改めて答えてみたいと思います。

今日の質問は「単独で獲物が獲れないけどコツはあるの?」という内容。

自分なりに考えてみたいと思います。

《質問箱》単独猟で獲物を獲ったことがない人へ

 

これに対して、Twitterではこのように回答しました。長くなりますが、下に全文引用しますね。下記のツイートからのスレッドに続いています。

猟場探しについて記事を書いたことはあります。
https://bit.ly/2BNcbdN
https://bit.ly/2U9oHvf

私なりに思うのは同じ山に何度も通い、痕跡を見つけ、獲物について仮説を立てて、それを確認していくのが大事かな、と。

同じ山に短期間に何度も行ったのは、わたしとしては良い経験でした。
「昨日はなかった痕跡」なんて最高の情報源で、「昨日の夕方以降の足跡」などと見当がつきます。そういう足跡を見つけたら、延々とトラッキングして、鹿が向かう先を確かめたりもしました。

ときには逆向きにトラッキングして「どこから来たか?」を確かめたこともあります。
有力な寝屋を見つけたときは、そこに出入りするけもの道を全部探し、どこから来て、どこに向かうのか? というのを想像してみたりもしました。

獲れるかは抜きにして、ほぼ毎回鹿を目撃はできるようにはなりました。
とはいえ、たまたま良い場所に恵まれたという気も……。

「こうすれば獲れる」
というアドバイスは無理ですが、わたしがやったことはこんな感じです。
無理矢理短く書いたので、分かりにくい部分があればまた質問ください。

なんとか短く答えようとしているもので(それでも長いけど)、語り切れた気がしません。

というわけで、わたしなりの短い経験から「単独猟で獲るために意識していること」をバーッと挙げていきたいと思います。

1.同じ山に何度も通う

同じ山に何度も通うことで学ぶことってすごく多いです。

  • 昨日はなかった足跡
  • 昨日はなかった糞

そういうものが大事な情報になってきます。逆にそれが全然ないとしたら、あまり獲物がいないのかもしれません。あるいは歩いているルートが悪いのかもしれません。

そうしたら別の山もチェックして見るのもいいでしょう。わたしも初年度に2ヶ所に連日通い詰め「そんなによくないな」と判断し、いまは別の獲物の動きの多い猟場をホームにしています。

2.とにかくSLLS

SLLSはミリタリー用語なのかな? わたしはハンターから聞いた言葉ですが。

Stop, Look, Listen, Smellの略です。

「観察」の基本ですね。止まって、周りを見て、聞いて、嗅ぐ。匂いで獲物を見つけたことはあまりないですが(撃った獲物を血の匂いで見つけたことはあります)、音はすごく重要です。わたしの場合、音から見つけることが圧倒的に多いかもしれません。

自分が動いていると回りの音は聞こえません。聞こえる気がするかもしれませんが、聞こえてはいません。

たとえば死角にいるシカが、こちらに気付いているとき、本当に音をたてずにソーッと逃げます。人間みたいにガサガサ足音をたてません。こっちが歩いていたら、こっちの足音に乗じて姿を消します。でも、ちゃんとこちらが止まって聞こうとすれば、小鳥が枯葉を踏むような「カサ……カサ……」という音がするものです。

その音を聞いたら、待つか、攻めるか判断し、鉄砲の用意をします。

3.長く歩き続けない

SLLSと被るのですが、シカってダッシュで逃げるとき以外は「こちらの足音がしているときだけ動く」と思っています。

つまりこちらが止まれば、向こうも止まり、こちらが動けば向こうも動く、という感じ。

シカの立場に立ってみれば

「ん? 足音がする……動こうかな? よし動くか」

という判断をするわけですよね(たぶんね……想像ですけど)。

で、こちらがたとえば3歩で立ち止まるような歩き方をしているとどうなるか?

「ん? 足音がする……動こうかな? よし動k……あれ、止まっちゃった。だめだまだ動かないでおこう」

という具合に、動くタイミングをあまり与えずに近寄ることができます。

だから目安としてわたしは有力な場所では3〜5歩に1度止まるのを心掛けています。

※シカの考えは全部想像ですけどね。笑

4.シカは逃げつつ止まる(と信じる)

わたしはいまだに動いている獲物を撃ったことがありません。逃げるシカも止まった瞬間に撃っています。

イノシシはちょっとわからないですが、シカに関しては条件次第で逃げしなに止まります。条件とは——

  • 上り坂 → かなり高確率で止まります。
  • 長い平地やトラバース → ある程度距離をあけたと思ったら確認のために止まり、振り返ります。

止まらないのは

  • 下り坂 → 猛ダッシュで駆け下りちゃう

もちろん例外はありますが、結構止まるもんです。わたしはこの止まる瞬間を狙います。

5.できれば猟期外にガンガン歩く

猟期中は獲りたいからゆっくり歩き、SLLSに徹して、「獲物を撃てる状態で見つける努力」をしています。

でも、猟期外はわたしはガンガンサクサク歩きます。あんまりSLLSに徹しません。そうすると、遠くのシカがキャン!と鳴いて逃げていったりします。これで少なくともシカがいたことは確認できます。

またあまりシカそのものを探すことに執着せず、痕跡を優先して広範囲を歩くようにしています。

痕跡があれば、それはシカがいた証拠なんですから、シカそのものを見つける必要はないかな、という考えです(と言いつつ見たい気持ちもあるんで探しちゃうんですけどね)。

6.遠めの獲物を撃てる射撃技術

これはスタイルによるのですが、わたしの場合は「近くを駆けているシカ」は撃ちません

これが良いとか悪いではなく、今のところわたしのスタイルだってことです。

そう割り切っているので、近くにシカがいたときも慌てて撃たず、鉄砲の用意を済ませ、たとえ遠くなっても立ち止まった瞬間に撃つことを目指しています。

結果的に遠くで止まっている獲物を撃つ機会が増えます。たとえば50m程度、あるいは100mを越えていたこともあります。

山の中でたとえば70mくらい先のシカのバイタルをちゃんと狙って当てようと思うと、わたしはやっぱりスコープが欲しいですね。「オープンサイトでは無理」というわけではないですけど、自信を持って撃つなら4倍くらいのスコープがあると安心です。キレイに全身が見えているとも限らないので、やはりスコープがあると丁寧に狙えます。

また、その距離ですと2発目は考えても仕方ないので、連射が不利と言われるボルトで問題なし。んまぁ、好みかな。

50m以遠でバイタルに当てる技術は欲しいですね。なにも立射である必要はなく、どういう姿勢なら当たるかを知っていることも大事かもしれませんね。

7.Lookはさらっと見渡すことではないし、Listenはぼんやり聞くことではない

SLLSのLookとListenですが、ただザーッと見渡して、ちょっと音に耳を傾けるというものではないと思っています。本気で見て、聞くことが大事かな、と。

ちょっと集中力が切れてきて、Lookが疎かになり、ザーッと景色を見渡すだけで済ませていると、本当に簡単にシカを見逃します。絶対見えるところにいたはずなのに、気付かないんですよ。驚きます。見るときはローラー作戦的にしっかり探します。慣れてくると「生き物の質感」みたいなものに敏感になってきて、探すのが速くなる気がしますが、それでも油断すると見逃しますね。

音も同じです。ぼんやりと聞いているだけではなく、しっかり1つ1つの音を聞いてみることが大事だと思っています。

8.山を休ませる

どんなにゆっくり歩いていても、人間が歩けば音がします。たまには枝を踏んでしまうこともあります。

だから時々は長く立ち止まり、山を休ませるように心掛けています。そういう時にちょっとおにぎりを食べたり、水を飲んだり、地形図を見たり、リップクリームを塗ったり(唇が乾くんですよね〜)……。

9.足跡やけもの道を延々と追ってみるとおもしろい

新しい足跡があったり、頻繁に鹿が歩いていそうなけもの道を見つけたら、それを延々と追ってみるのもおもしろいです。

それで獲れるっていう意味ではなく、シカの動向が分かるから。どこからどこまでシカが移動しているのか? 何のために? 何時ごろに? そういうことを研究するのもおもしろいです。

寝屋にしている場所を見つけたら、そこに出入りする足跡を1つ1つ追ってみたりすると、なんとなくシカのことが分かる気がしてきます。

わたしなりに意識していることです

以上、9つ、わたしなりに意識していることです。

言うまでもなく、わたしも2年目で初心者です。コンスタントに獲れるわけじゃないんですが、少なくともシカなら時々は獲れます。

たくさん獲るためのノウハウは分かりませんが、こういうことを気をつけていれば1頭目は獲れるんじゃないかな?という気持ちを込めて書いてみました。

「おれはこういうことを気をつけているよ」

というアドバイスがあったら、これから始める人のためになると思うので、ぜひ教えてください。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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