書評 『氷結の森』 マタギの心を持った男の冒険小説

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作家、熊谷達也氏の《森シリーズ》マタギ三部作の完結編『氷結の森』をご紹介します。

前2作『邂逅の森』『相剋の森』とはまったく趣の違う作品で、評価の分かれる作品だと思われますが、それでも小説としては期待を裏切らない作品だったのでご紹介します。

 

マタギ小説であり、マタギ小説ではない

この森シリーズはマタギ三部作と銘打って、秋田県阿仁町のマタギを描いた小説シリーズです。

明治のマタギの生き様を描いた第1作『邂逅の森』。現代のマタギと動物愛護問題のぶつかりを描いた第2作『相剋の森』。そして、第3作。何を描くのだろう? とワクワクしながらページをめくりました。

主人公は日露戦争を生還した、阿仁町出身のマタギ、矢一郎。彼はわけあって、故郷である阿仁町を捨て、マタギも辞め、樺太~ロシアを命を狙われながら放浪しています。そして作品を通して、1度も阿仁町に帰ることはなく、猟もしません。

だからこの作品を《マタギ小説》と読んで良いものか、こうして書評を書いている今も悩ましいところです。

むしろ冒険小説か、戦争小説と言った方がはるかに近く、《マタギ》 らしさは、矢一郎の精神性にのみ活きています。

 

マタギが主人公の冒険小説

この作品を「マタギの猟が見たい」という気持ちで読むと、ちょっと期待外れになるかもしれません。しかし冒険小説として読めば、なかなかに興奮できる作品で、事実わたしも興奮のもと、バーッと読んでしまいました。

マタギである矢一郎はあるスーパーマン的な描かれ方をしていて、銃の腕が異常に良いのです。正直、普段であれば、そういうスーパーマン的主人公の小説はあまり好まないのですが、マタギという背景を背負っており、しかも、悲しい過去を背負っているということも手伝い、そのスーパーマン的要素が快感に思えました。

一応、このブログでは「猟師系」の書評をしていて、普通の小説の書評を書くつもりはありません。そういう意味で、この作品をここで紹介すべきかどうかは迷ったのですが、マタギシリーズの完結編でもあり、ここはいさぎよく紹介することにしました。

マタギについて学ぶ、というよりは、純粋に冒険小説を楽しむつもりで読んでみてはいかがでしょうか。

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